関西馬まとめ短評(No.61~79) シルクホースクラブ 2022年度募集

61.グリントオブライトの21

募集価格2000万円 牝 牧浦厩舎 ノーザンF生産
父ルーラーシップ 母ステイゴールド

ルーラーシップ×ステイゴールドは打率が悪く、そもそも父キングカメハメハ系×母父ステイゴールド自体があまり良くない。母が長距離戦で活躍したように、スピードよりはスタミナが強い点からも鈍重になってしまうだろう。ノーザンF意向も良くなく、見送り。


62.シフォンカールの21

募集価格4000万円 牡 吉岡厩舎 ノーザンF生産
父キズナ 母クロフネ

キズナ×フレンチデピュティは相性が良く、18/33頭勝ち上がり、1頭当たり賞金1900万円になる。ノーザンF生産馬に限れば、全4頭勝ち上がり、ルリアン・グランスピードなどが活躍している。牝系のポテンシャルを考えれば、上級クラスで活躍しても不思議ではない。


63.パーシステントリーの21

募集価格4000万円 牝 大久保厩舎 ノーザンF生産
父キズナ 母Smoke Glacken

母パーシステントリーはパーソナルエンスンS(米G1・ダ10f)勝ち馬。3代母Heavenly Prizeは米国G1 8勝の名牝。本馬はキズナ産駒で重要なStorm Catの血をいじる配合。Heavenly PrizeとStorm Catとの相性が良いだけに大物になる可能性あり。
キズナ産駒×大久保厩舎は4/5頭勝ち上がり、ディープボンド、ハピが活躍している。総じて筋肉量の多いムキムキ体型になるだけあって、牡馬>牝馬の傾向が強い点がどうか。


64.アルルの21

募集価格4500万円 牡 藤原英厩舎 ノーザンF生産
父サトノダイヤモンド 母Monsun

母はロングアイランドH(米GⅢ牝・芝2400m)勝ち馬。4代母Allez Franceは仏1000ギニー・仏オークス・凱旋門賞などG1 8勝した名牝。
サトノダイヤモンド産駒牡馬はスタミナが勝っている印象で、血統評論家・望田氏もマイラーとの配合が良いと主張されるようにスピード補完が重要。本馬はその血がないのが大きなマイナス。藤原英厩舎が得意とする欧州血統をキレに転換させる調教でどこまでやれるか。「3/4 Northen Dancer、1/4ドイツ異系」+緊張→緩和という綺麗な配合ではあるが。


65.キューティゴールドの21

募集価格6000万円 牡 高野厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父サトノダイヤモンド 母フレンチデピュティ

特段配合的に強調材料はない。どちらかと言えば母はスタミナ寄りな点でも良くない。高額で見送り。


66.アンティフォナの21

募集価格4000万円 牡 斉藤崇厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父リアルインパクト 母Songandaprayer

ラウダシオンの全弟。ディープ×Unbridled’s Song×Storm Catの黄金配合。堅実に走ってくるだろう。
G1馬の全弟妹は出資しないという宗教上の理由によりケン。


67.モルジアナの21

募集価格3500万円 牡 池添学厩舎 ノーザンF生産
父ミッキーアイル 母Dubawi

Alzao≒Shareef Dancer、Alzao≒Dancing BraveとAlzaoの血を増幅している点は非常に好感が持てる。ミッキーアイル産駒牡馬はダート的なパワーを強く伝える傾向にあり、この牝系を考えるとダート馬の可能性が高い。母のポテンシャルを考えれば、ダートで堅実に走りそうではあるが、ミッキーアイル産駒のダート牡馬では期待値的に強くは推せない。
木村厩舎ではない点からノーザンF意向としては疑問。


68.レディホークフィールドの21

募集価格3500万円 牡 四位厩舎 ノーザンF生産
父リアルスティール 母Hawk Wing

母自身は実績がないものの、近親にLillie Langtryは英愛G1 2勝、その産駒から英愛G1 7勝のMinding、愛1000ギニー勝ち馬Empress Josephine、英オークス勝ち馬Tuesdayを輩出。5代母Vive La ReineはVaguely Nobleの全妹という良血牝系だ。
本馬の母はフランス的な斬れが使えそうな血統構成で、リアルスティールと相性が良さそう。リアルスティール産駒の成功配合が分からず母の傾向も掴めず、未知な部分が多すぎて期待値判断が難しい。


69.テッィカーコードの21

募集価格2800万円 牝 斉藤崇厩舎 ノーザンF生産
父リアルスティール 母Giant’s Causeway

母ティッカーコードがStorm Cat≒Chapel of Dreams 3/4同血クロス2×4であることから、本馬はStorm Cat≒Chapel of Dreams 3×3・5の継続クロスになる。ディープ×Storm Cat後継種牡馬はStorm Catのパワーが強く出るため、Storm Catをクロスさせると米国的なパワー過多になり、ダート馬になる可能性が高くなる。やや小柄に出た点でもマイナス。


70.ペニーウェディングの21

募集価格3000万円 牡 清水久厩舎 ノーザンF生産
父シルバーステート 母Broken Vow

シルバーステート産駒もディープ後継種牡馬の傾向と同様に、牡馬はスタミナ/牝馬はスピードに出る。母系に米国血統を盛り込んでスピードを補完している点に好感が持てる。Nijinskyの血を持つシルバーステート産駒牡馬は13/28頭勝ち上がりで、ニアリークロスを含めると活躍馬の多くが該当する。
正直、未知な部分が多く期待値判断が難しい。


71.ターシャズスターの21

募集価格2500万円 牝 寺島厩舎 ノーザンF生産
父キンシャサノキセキ 母Spanish Steps

ミルレーサー≒Gana Facil 3×4を持ち、War Relic≒Eight Thirty 8・8・8×7・7・8・9・9・9と北米パワーを増幅させた血統構成。母の産駒で成功したエスメラルディーナ、コンシリエーレは共にこの北米パワーをいじった配合で、逆に走らなかった馬はまったくいじっていない。Storm Cat系ほどではないが、母の良さを引き出しやすいキンシャサノキセキ産駒というのもプラス。ダート牝馬でも問題ないと思えれば、出資検討してみても。


72.ディープストーリーの21

募集価格2500万円 牡 田中克厩舎 ノーザンF生産
父マジェスティックウォリアー 母ディープインパクト

ノーザンF生産のマジェスティックウォリアー産駒牡馬は、現2歳世代を除き、3/6頭勝ち上がり、ライトウォーリアやレッドソルダードが活躍しており、産駒のイメージよりは堅実に走る。繁殖牝馬の質次第で活躍してもおかしくない種牡馬と言えよう。
配合的には特段強調材料はないものの、My CharmerやTraffic Judgeなどの血があるのはプラス。リードストーリーの牝系は牡馬は比較的走るので、期待値判断が難しいが、なんだか気になる。


73.トレジャーステイトの21

募集価格3500万円 牡 奥村豊厩舎 ノーザンF生産
父サトノアラジン 母Oasis Dream

サトノアラジン産駒は、牡馬はダート/牝馬は芝短距離に出る傾向が非常に強い。サトノアラジン産駒牡馬で活躍している馬はStorm Catをいじる配合があり、他のディープ×Storm Cat後継種牡馬と同じような考え方で良いだろう。
本馬は、Storm Cat≒Perfect Example 3×5(Storm Bird≒Far North、Bold Ruler+Princequillo、Eight Thirty)を持っており、Storm Catをいじる配合に相当する。また、Green Desert、Dancing Braveの血により、Alzaoのスピードを増幅している点にも好感が持てる。
あとはサトノアラジン産駒のポテンシャルだけ。ノーザンF生産のサトノアラジン産駒牡馬に限れば、2/3頭勝ち上がり、ウェルカムニュース、クアトロマジコと堅実に結果を残しており、母トレジャーステイトの繁殖レベルを考えれば、ダートでそこそこ走っても不思議ではない。
サトノアラジン産駒で募集価格3500万と割高に加えて、2022/7/1に右飛節OCD除去手術となれば、いかにも人気がなさそう。出資するのも一苦労の当クラブ、人気のない中で狙うなら。


74.ルシルクの21

募集価格3500万円 牡 音無厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父ニューイヤーズデイ 母Dynaformer

本馬は、Too Bald 6×5、Mississippi MudとAndover Wayのニアリーな関係というナスペリオンをいじった、いかにも狙いにいった血統構成。Dixie Union×Dynaformerの配合はアナンシエーションが活躍している。ダート的なパワーとHyperionの粘りがマッチした配合と言える。また、根拠は分からないが、本馬の牝系は父米国型ミスプロ系との相性が良いのも安心材料。
堅実に走ってくるだろう。厩舎を考えると大物まで。


75.ブラマンジェの21

募集価格2400万円 牝 藤岡厩舎 ノーザンF生産
父ニューイヤーズデイ 母クロフネ

ニューイヤーズデイの成功配合が分からず、特段配合的に注目すべき箇所はない。シラユキヒメ牝系のポテンシャルに期待か。


76.ショウナンパンドラの21

募集価格5500万円 牝 高野厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父レイデオロ 母ディープインパクト

ウインドインハーヘア4×3を持つ。レイデオロ産駒の成功配合が分からず、特段配合的に強調材料もない。高額すぎてリスク回避で見送り。


77.オールザウェイベイビーの21

募集価格1800万円 牝 池添学厩舎 ノーザンF生産
父アルアイン 母Grand Slam

種牡馬アルアインはディープ後継種牡馬の傾向を考えると、牝馬は米国的なスピードを強く伝えるだろう。母オールザウェイベイビーも仕上がり早いスピード血統。一本調子タイプの早熟タイプで大物感はない。安価な募集価格で早期に勝ち上がりを期待するならアリ。


78.アドマイヤテレサの21

募集価格2000万円 牝 渡辺厩舎 坂東牧場生産
父シュヴァルグラン 母エリシオ

母アドマイヤテレサはトニービンと相性が良く、6/9頭勝ち上がり、アドマイヤラクティ、アドマイヤジャスタ、アステロイドベルトなどが活躍。ナスペリオン増幅にあたるため、牝馬は成績が悪い点がどうか。セントカメリアのように走ればいいが…。


79.エリーシエズワールドの21

募集価格6000万円 牡 中内田厩舎 外国生産

父No Nay Never 母Champs Elysees

No Nay Never産駒の成功配合は不明だが、Danzigやナスキロなど米国的なスピードを入れることが重要な印象。代表産駒Alcohol Free、Ten Sovereignsの共通点がDanzig、Special、ナスキロ、War Admiral+La Troienneを持ち、日本の代表産駒ユニコーンライオンもナスキロ過多の血統構成。
本馬の一番の魅力は、4代母Night and DreamsがDr.Fager≒Great Above 3×2を持つこと。Alcohol Freeの5代母Special AccountもBusanda≒Striking 3×2、Ten Sovereignsの母Seeking SolaceもMy Charmer 4×5と、米国血統経由のWar Admiral+La Troienneを増幅させた血統構成なのは見逃せない。
欧州の重厚な血統のように見えて、日本の馬場に適性のあるChamps Elysees(=Dansili)、Singspielというのも好感で、血統と厩舎の特性から早期から活躍してもおかしくない。
種牡馬No Nay Neverの配合の狙いを色々と考察して、それっぽいものをなんとか捻り出してみたものの、そもそも募集価格が高すぎて期待値的には割に合わない。


以上