【血統考察】関東馬No.16~30 シルクホースクラブ 2023年度募集

16. ユキチャンの22

募集価格 3000万円 牝 武井厩舎 ノーザンF生産 1/25生まれ
体高157.0cm 胸囲184.0cm 管囲20.8cm 体重480kg(6月下旬時点)
父ドレフォン 母父クロフネ

母ユキチャンの産駒は5/6頭勝ち上がり、どんな種牡馬でも堅実に走る優秀な繫殖牝馬。その中で一番活躍しているのが全姉ハイアムズビーチ。ウェイブウインドとStorm Catがニアリーな関係(Northern Dancer、ナスキロ+Tom Foolが共通)であり、Deputy Minister 5×4による北米パワーを増幅させた点がポイントなのだろう。今後の活躍が期待されるアマンテビアンコも同様の配合パターンで、本馬も全姉同様の活躍を期待したくなる。

種牡馬ドレフォンはコルトサイアーのため期待値では若干劣るものの、堅実に走る保険付きでこの募集価格であれば悪くない。白毛じゃなくも良いなら、出資検討しても良さそうだ。


17. マイハッピーフェイスの22

募集価格 5000万円 牡 萩原厩舎 ノーザンF生産 4/23生まれ
体高157.0cm 胸囲183.0cm 管囲22.1cm 体重482kg(6月下旬時点)
父キタサンブラック 母父Tiz Wonderful

マイハッピーフェイスの血統構成から「ディープインパクトを交配するために買ってきた」としか思えないだけに、キタサンブラックはいかにも狙った配合だ。Sir Ivor≒Incantationのニアリークロスを持つキタサンブラック産駒は2/3頭勝ち上がり、ドグマが活躍している。
母が米国血統のキタサンブラック産駒はダート馬に出る可能性が高いだけに、キタサンブラック産駒が得意とする東京ダートが主戦場になりそう。しかも萩原厩舎ならいかにも走ってそうなイメージ。

あとは母の繁殖牝馬としてのポテンシャルだけ。分散が激しくギャンブルになりそうな印象で個人的には好みではない。赤字覚悟でもキタサンブラック産駒が欲しい方、ダートの大物狙いの方はどうぞ。


18. ラッドルチェンドの22

募集価格 7000万円 牝 木村厩舎 ノーザンF生産 4/29生まれ
体高158.0cm 胸囲175.0cm 管囲20.8cm 体重436kg(6月下旬時点)
父キタサンブラック 母父Danehill Dancer

3代母Monevassia(Kingmamboの全妹)はパワーを強く伝え、母ラッドルチェンドはKingmambo×Danehillを経由したRibot 5×6となりRibot肩を産駒に伝える。そのため、Monevassiaの牝系は柔らかさを伝える主張型のディープインパクト産駒しか活躍していないし、本馬の兄姉はその傾向が顕著に出る。
キタサンブラック産駒ではさらにパワー寄りになりそうで、しかも牝馬ではさすがに手が出ない。


19. ムーンライトナイトの22

募集価格 1500万円 牝 伊藤大厩舎 社台コーポレーション白老F生産 3/18生まれ
体高147.0cm 胸囲172.5cm 管囲19.3cm 体重403kg(6月下旬時点)
父ルーラーシップ 母父ステイゴールド

父中距離×母父中距離×祖母パワーマイラーという現代のトレンド配合。Danzigの血を持つルーラーシップ産駒は良いのだが、ドゥラメンテ以外で父キングカメハメハ系×ステイゴールドは走らない。
ノーザンFの意向も微妙。走ったらごめんなさい。


20. ジーナスイートの22

募集価格 2000万円 牝 青木厩舎 ノーザンF生産 5/12生まれ
体高145.5cm 胸囲160.5cm 管囲18.2cm 体重364kg(6月下旬時点)
父ルーラーシップ 母父ステイゴールド

ドゥラメンテ以外で父キングカメハメハ系×ステイゴールドは走らない。牝系も底力やスタミナ血統が強く、スピード不足の懸念もある。
走ったらごめんなさい。


21. クインアマランサスの22

募集価格 3500万円 牡 中館厩舎 ノーザンF生産 1/20生まれ
体高153.0cm 胸囲178.5cm 管囲21.1cm 体重458kg(6月下旬時点)
父ナダル 母父キングカメハメハ

新種牡馬ナダルは父Roberto系でもArchの系統なので、牡牝限らず勝ち上がり率の高さを期待したい。Coutly Dee、Special、Preach、Patelinと名繁殖が散りばめられ、血統評論家・望田氏も主張されるように、これらの血をどういじるかがポイントになる。

本馬はLiable≒Kingmambo 3×3、A.P.Indy 4×4を持つ。Roberto×Mr.Prospector×Specialの継続クロスによるNashua≒Nantallah的パワーを増幅させた配合。ダート馬としての活躍が期待でき、A.P.Indyのクロスや母方の奥にナスキロの血があることから、東京ダートが主戦場になりそうだ。

中館厩舎は芝<ダートの傾向が強く、ノーザンF生産でもその傾向が変わらない珍しいタイプ。ヒカルアマランサスの牝系を活躍させるのであれば、芝で狙いたいと筆者としては思っており、コテコテのダート馬だと募集価格越えが目標になってしまうのではないかという懸念を持つ。
種牡馬・繁殖牝馬ともにポテンシャルが未知な分でギャンブル性が高い。それでいて、ホームランが出にくいとなると期待値は高くなさそう。敬遠。


22. プロミストリープの22

募集価格 3000万円 牝 上原佑厩舎 ノーザンF生産 1/8生まれ
体高154.0cm 胸囲179.0cm 管囲21.0cm 体重456kg(6月下旬時点)
父ナダル 母父ヘニーヒューズ

父ヘニーヒューズ×Patelin牝系と言えばBeholderが有名で、その配合の鍵となるEight Thirty≒War Relicの北米パワーを増幅させた血統構成。Liable≒ジェイドロバリー3/4異母同血クロス3×4もあり、いかにも狙った好配合馬。
同じPatelin牝系で血統構成がナダルと似ているアイルハヴアナザーはフジキセキと相性が非常に良く、ウインマーベル、アナザートゥルース、マイネルユキツバキと総賞金上位馬が該当する。

上原佑厩舎は今年開業の現在最年少の調教師で、転厩緒戦でファイアボーラーやアルメリアを勝たせるなど優秀さがバレつつある要注目の厩舎。経歴も超優秀。ノーザンF空港牧場で勤めた経験もあり、ノーザンFの意向も評価して良い。

新種牡馬のダート牝馬で募集価格3000万はやや割高な印象ではあるが、悪い要素が見つからず、むしろ未知の魅力が多い点を評価したい。こういう馬を評価して走ったら結構嬉しかったりする。


23. ヴィクトリアピースの22

募集価格 2500万円 牡 稲垣厩舎 ノーザンF生産 1/27生まれ
体高154.0cm 胸囲171.0cm 管囲20.2cm 体重432kg(6月下旬時点)
父バゴ 母父ヴィクトワールピサ

Coup de Genie=Machiavellian全兄妹クロス3×4、Bustino 4×5、Nureyev 3×6という父母相似配合。ヴィクトワールピサは母父として優秀だし、祖母ツルマルワンピースも繁殖牝馬としてのポテンシャルも高く、母自体の競走成績が劣っても高い能力をしっかり伝えそう。

Machiavellianの血を持つバゴ産駒は3/10頭勝ち上がり、タイガークラウン、ピンストライプが活躍。これだけ見ると分散が激しそうだが、父ヴィクトワールピサ×Coup de Genie牝系は4/5頭が勝ち上がっており、堅実性を危惧する必要はなさそう。母父ヴィクトワールピサならこれから結果が出てもおかしくない。

ノーザンF生産のバゴ産駒はクロノジェネシス、ステラヴェローチェなどが活躍しており、そのポイントとなるNashua≒Nantallah的パワーを増幅している点からも、大物になってもおかしくない。現3歳世代のノーザンF生産のバゴ産駒は大コケしたのは目を瞑って…。

稲垣厩舎はノーザンファームF空港牧場出身とノーザンFの意向としては悪くなく、コンシリエーレやシルブロンなど近年で結果が出てきた厩舎。ルメールJ騎乗時の成績が抜群で、口取りチャンスが分かりやすいのが特徴。この価格帯なら期待値的に良さそうで、当たったらラッキーくらいの気持ちで。


24. ウィクトーリアの22

募集価格 5000万円 牡 宮田厩舎 ノーザンF生産 3/8生まれ
体高156.0cm 胸囲177.0cm 管囲21.5cm 体重434kg(6月下旬時点)
父リアルスティール 母父ヴィクトワールピサ

父リアルスティールはNorthern Dancer 5×4・5を持つことから、母はNorthern Dancerが薄い方がベター。また、KingmamboのRibot肩が伝わりやすいだけに柔らかいナスキロの血を入れることが重要。
本馬の母はNorthern Dancerが非常に薄く、Northern Dancerの濃い種牡馬といかにも相性が良さそう。この牝系のディープインパクト産駒はSir Ivorのクロスが影響してか緩さの残る馬が多かっただけに、柔らかい血が必要な種牡馬リアルスティールといかにも合いそうな印象だ。

また、祖母ブラックエンブレムがOur Emblem≒ヘクタープロテクター 2×2という強烈な父母相似配合で、それを継続クロスさせたのが母ウィクトーリア。母父ヴィクトワールピサも非常に優秀であることから、母が優秀な繫殖牝馬となる可能性十分だ。宮田厩舎というのも大いに期待したくなる。

リアルスティールの血統構成からもっと種牡馬としてやれていいはずで、育成方法が確立し出す、この3年目の世代から大物が出ても不思議ではない。繋ぎが立っていないかを見極めていただいた上で、大物狙いできる1頭。


25. スナッチマインドの22

募集価格 3500万円 牡 武市厩舎 社台コーポレーション白老F生産 3/27生まれ
体高149.5cm 胸囲167.5cm 管囲19.7cm 体重385kg(6月下旬時点)
父ブリックスアンドモルタル 母父ディープインパクト

ブリックスアンドモルタル産駒はVaguely Noble~Aureole魂を強く伝える印象で、現状では逃げた2頭しか結果が出ていない。血統予想家・亀谷氏が持続力と体力に優れているという見解からも、なんとなくNo Nay Neverの米国版みたいなイメージを持つ。母方からスピード能力を伝える必要がありそう。逃げて勝ち上がった2頭は祖母がフランス血統のマイラーだ。

本馬は、Storm Bird 4・4×5(Storm Cat 3×4)とStorm Cat継続クロスを持つため、ダート的なパワーが強く出る可能性がある。母父ディープインパクトで小柄、しかもダート馬だと厳しくなりそうだ。

本馬の母は産駒2頭とも勝ち上がり。厩舎を考慮すると堅実に走る繁殖牝馬と言って良いだろう。正直そこに期待するしかなく、手が出ない。


26. アルジャンテの22

募集価格 2400万円 牝 鈴木慎厩舎 社台コーポレーション白老F生産 1/21生まれ
体高149.0cm 胸囲177.5cm 管囲20.1cm 体重440kg(6月下旬時点)
父ブリックスアンドモルタル 母父ディープインパクト

3/4 Northern Dancerの形に加え、緊張→緩和、父中距離×母父中距離×祖母スプリンターと配合セオリーとしては非常に綺麗な配合。ただ、半兄もそれで期待したが、結果は出ておらず。
ノーザンFの意向を考慮すると、繫殖牝馬としてのポテンシャルに不安が残る。母の産駒が走るまでは見送りたい。


27. ボニーゴールドの22

募集価格 3500万円 牡 田村厩舎 社台コーポレーション白老F生産 4/24生まれ
体高153.5cm 胸囲169.5cm 管囲20.1cm 体重413kg(6月下旬時点)
父リオンディーズ 母父ディープインパクト

リオンディーズ産駒は柔らかい血が必須でNorthern Dancerが薄い方がベター。父リオンディーズ×母父ディープインパクトは8/18頭勝ち上がり、タガノディアーナ、ケデシュが活躍している。
本馬の配合は、母がNorthern Dancer 5×5・5と薄くなく、祖母のVice Regent≒ノーザンテースト3×3のパワーを強く伝えるだけに、血統派としては推せない。


28. ロザリンドの22

募集価格 4500万円 牝 田中博厩舎 ノーザンF生産 3/18生まれ
体高154.0cm 胸囲174.0cm 管囲20.0cm 体重429kg(6月下旬時点)
父サトノダイヤモンド 母父シンボリクリスエス

サトノダイヤモンド産駒はパワーとスタミナが強く出る傾向にあるため、柔らかいナスキロの血・スピードを補完する血を入れることが非常に重要。
父エピファネイア×母父ディープインパクトはSir Gaylordの柔らかさが出すぎてしまうだけに、エピファネイアの全妹の母ロザリンドに対して、柔らかい血が必要となるサトノダイヤモンドと相性が良さそう。

あとはなぜかシーザリオの牝系は牝馬が走らない点だけが懸念材料。筆者としては、この傾向を重く受け止めており、大物が出るまでは見送りたい。


29. エイシンシルダリアの22

募集価格 2500万円 牡 高橋文厩舎 アイオイF生産 4/9生まれ
体高152.0cm 胸囲169.5cm 管囲20.8cm 体重391kg(6月下旬時点)
父アドマイヤマーズ 母父キングカメハメハ

種牡馬アドマイヤマーズはHaloの捌きと欧州的なスタミナが持ち味。体質を締める血が多く、パワーが強い血統構成なだけに、ダイワメジャーと相性の良い柔らかい血を入れた方が良さそうな印象を持つ。

本馬はSadler’s Wells≒Nureyev 6×5、Glorious Song 5×4とヴィアメディチをいじった配合。ヴィアメディチのパワーを増幅している点が個人的に疑問。そもそも近親で勝ち上がっている馬がおらず、母の産駒もまったく結果が出ていない点は気掛かり。
買える材料がなく、ノーザンFの意向も微妙。走ったらごめんなさい。


30. ロッテンマイヤーの22

募集価格 3000万円 牝 新規開業厩舎 ノーザンF生産 2/1生まれ
体高159.0cm 胸囲178.0cm 管囲20.4cm 体重460kg(6月下旬時点)
父アドマイヤマーズ 母父クロフネ

3代母ビワハイジに柔らかい血が多く、ダイワメジャーと相性が良いCaerleonの血を持つ。アドマイヤマーズといかにも合いそうな印象だ。ノーザンテースト≒Vice Regent 4×5とパワーを増幅している点がどうかだが、締める血をいじっているわけではないので問題ないだろう。近年、キズナ・サトノダイヤモンド・ビッグアーサー・リオンディーズなどなどCaerleonの血が効果的に働く場面が多々あり、方向性は合っていると思う。

関東の新規開業厩舎だと森一誠厩舎になると想定している。堀厩舎の番頭をしていたことでも有名で、ノーザンFのコネクションを持つ優秀な人材。来年の解散厩舎がイマイチのため、優秀なスタッフが集まるかが課題も、数年後には大きな飛躍が期待できる調教師だ。
(もし想定がハズれて矢嶋大樹厩舎になっても問題なし)

新種牡馬・繁殖牝馬のポテンシャル・新規開業厩舎と未知な部分が多すぎて敬遠したくなるところだが、それといって大きな懸念点もない。大抽選会回避で狙うなら全然アリ。走ったらラッキーくらいな気持ちで。


つづく