【血統考察】関東馬No.1~15 シルクホースクラブ 2023年度募集

本ブログを多くの方に読んでいただいているようで、嬉しい言葉もかけていただきありがとうございます。今年は種牡馬・厩舎の見解をお伝えすることを意識して書いてみました。その結果、25,000文字を超える卒論並みのボリュームになりました。これを広告なしで無料提供するのも血統派の普及のためです。
血統に少しでも興味をもっていただき、馬選びの参考になれば幸いです。
ついでに血統アドバイザーのお仕事もお待ちしております。


1.アーモンドアイの22

募集価格 2億4000万円 牡 国枝厩舎 ノーザンF生産 1/13生まれ
体高153.0cm 胸囲171.0cm 管囲20.7cm 体重442kg(6月下旬時点)
父エピファネイア 母父ロードカナロア

父エピファネイア×母父ロードカナロアは、ロードカナロアとシーザリオは血統構成が似ていることから、父母相似配合の観点でシーザリオのキレを引き出しそうな配合。ただし、父エピファネイア・母父ロードカナロアともに緩慢さが出やすい種牡馬なだけに、祖母でしっかり締める必要がある。本馬は母アーモンドアイが完璧な血統構成だけあって、父エピファネイアの分でやや緩さが出る方に寄っている印象を持つ。

配合的には、Sadler’s Wells≒Nureyev 4×4・6を経由した3/4 Northern Dancerの形で、母はトライマイベスト≒ロッタレース3/4同血クロス5×2持ちと血統構成としては文句なしに素晴らしい。いち競馬ファンとして本馬の走りに期待したい。
本馬への出資はもはや趣味の世界。回収率を口に出すこと自体が野暮だろう。夢とロマンと実績が欲しい方は是非。


2. プリモシーンの22

募集価格 1億2000万円 牡 木村厩舎 ノーザンF生産 3/12生まれ
体高154.0cm 胸囲174.0cm 管囲20.8cm 体重462kg(6月下旬時点)
父エピファネイア 母父ディープインパクト

父中距離×母父中距離×祖母スプリンターという現代のトレンド配合。父エピファネイア×母父ディープインパクトは緩さを強く伝える配合のため、祖母に締める血が過多なほど必要。Sadler’s Wellsのクロスを持つ馬が結果を残しているのはそれが要因だ。

本馬はSadler’s Wellsのクロスはないものの、Sadler’s Wells≒Nureyev4×5、Danehill持ちで、祖母パワースプリンターと体質を十分に締めている。牝系にSir Ivor・Habitatの血を持っており、京都がベストコースの血統構成なだけに関東馬という点が少し残念。「牧場の評判が相当良い」という出所不明な噂があり、大成すれば菊花賞・天皇賞春で活躍しても不思議ではない。
赤字覚悟で大物狙いしたい1頭。


3. ツルマルワンピースの22

募集価格 5000万円 牝 大竹厩舎 ノーザンF生産 3/21生まれ
体高155.5cm 胸囲173.0cm 管囲20.0cm 体重424kg(6月下旬時点)
父エピファネイア 母父キングカメハメハ

母がトライマイベスト=El Garn Senor 4×3を持ち、産駒が堅実に走る優秀な繁殖牝馬。本馬はこの全兄弟クロスに加え、Sadler’s Wells≒Nureyev 4×5としっかり体質を締めている点が好感。父中距離×中距離×祖母スプリンターの形になるのも良い。
あとはエピファネイア産駒がフジキセキの血と相性が微妙な点だけがどうか。
堅実に走る保険があり、大物になる可能性ある1頭。


4. アピールⅡの22

募集価格 2000万円 牡 加藤士厩舎 坂東牧場生産 4/14生まれ
体高151.0cm 胸囲166.0cm 管囲20.3cm 体重365kg(6月下旬時点)
父ダイワメジャー 母父Serkirk

昨年度のキャロットクラブ募集で考察済。
Red God、Alycidonの血を持つダイワメジャー産駒の黄金配合に近い血統構成。Mixed Marriage 、Nebbiolo、Le Fabuleux、AlycidonとPretty Pollyの血が複数あるのは好感。また、Selkirkの血を持つダイワメジャー産駒にはゴールデンナンバーが活躍している。
堅実に走っても良さそうだが、馬体が小さく牝系のポテンシャルから大物感はない。加藤士厩舎はノーザンFとの関係性がまだ薄く、芝<ダートの傾向がある厩舎。手が出ない。


5. ブラックエンブレムの22

募集価格 8000万円 牡 国枝厩舎 ノーザンF生産 3/5生まれ
体高152.0cm 胸囲171.5cm 管囲20.7cm 体重415kg(6月下旬時点)
父ロードカナロア 母父ウォーエンブレム

母ブラックエンブレムがOur Emblem≒ヘクタープロテクター 2×2という強烈な父母相似配合。父ロードカナロアが母の良さを引き出す種牡馬であることから、母の競走能力をダイレクトに伝えてくれるだろう。
ただ、母の産駒は緩さを出す種牡馬と相性が良くなく、結果を残しているのはパワー型の種牡馬がほとんど。Sex Appeal≒Numbered Account=Playmateのクロスはあるものの、牡馬では締める血が足りず、上級条件でパワー不足を露呈する可能性も。
募集価格 8000万円は明らかに割高。


6. ファイナルディシジョンの22

募集価格 4500万円 牝 黒岩厩舎 ノーザンF生産 4/17生まれ
体高155.5cm 胸囲171.5cm 管囲20.2cm 体重437kg(6月下旬時点)
父ロードカナロア 母父Super Saver

父ロードカナロアが母の良さを引き出す種牡馬であることから明らかにダート馬。黒岩厩舎はノーザンF関連クラブと相性が良く、牝馬の活躍馬が多い点は魅力なのだが、そのほとんどが芝でのもの。
特段配合的に強調材料はなく、高額なダート牝馬では見送り。


7. チリーシルバーの22

募集価格 2500万円 牝 深山厩舎 ノーザンF生産 4/10生まれ
体高147.5cm 胸囲167.0cm 管囲18.0cm 体重362kg(6月下旬時点)
父オルフェーヴル 母父Malibu Moon

深山厩舎は短距離やダートでの活躍馬が多く、パワーを強化する調教パターン。本馬の血統構成からダート馬に出る可能性が非常に高く、小柄なダート牝馬は正直厳しい。
特段配合的に強調材料はなく、ノーザンFの意向としても微妙。
走ったらごめんなさい。


8. ラストプリマドンナの22

募集価格 2800万円 牝 和田郎厩舎 ノーザンF生産 2/28生まれ
体高154.0cm 胸囲169.5cm 管囲21.2cm 体重413kg(6月下旬時点)
父モーリス 母父ダイワメジャー

サンデーサイレンス 4×3、ノーザンテースト5×4、Roberto 5×4、His Majesty=Graustark 6×5という父母相似配合のパワー血統。父モーリス×母父ダイワメジャーは5/9頭勝ち上がり、タイソウ、バルサムノート、アドヴァイスが活躍しているが、パワーを増幅した牝馬が同様の活躍を見せられるかは微妙。
パワーを増幅したモーリス産駒の牝馬はあまり走らず、ダートに出てしまう可能性を加味すると期待値的に手が出ない。個人的にはモーリス産駒の牝馬は見送る方針で。


9. クードラパンの22

募集価格 3000万円 牝 奥村武厩舎 社台コーポレーション白老F生産 3/1生まれ
体高155.5cm 胸囲180.0cm 管囲19.6cm 体重437kg(6月下旬時点)
父モーリス 母父ダイワメジャー

サンデーサイレンス 4×3、ノーザンテースト≒Vice Regent 5×4・6、Roberto 5×4、His Majesty=Graustark 6×5という父母相似配合のパワー血統。
ノーザンテースト≒Vice Regentを持つことからダート馬に出る可能性が高く、パワーを増幅したモーリス産駒の牝馬はあまり走らない。個人的にはモーリス産駒の牝馬は見送る方針で。


10. アイムユアドリームの22

募集価格 2500万円 牝 池上和厩舎 ノーザンF生産 3/29生まれ
体高150.5cm 胸囲171.0cm 管囲19.7cm 体重419kg(6月下旬時点)
父モーリス 母父フジキセキ

祖母ビオンドパンテーラがMr.Prosupector≒Marshua’s Dancer 2×3という濃いクロスを持ち、それを緩和させたのが母アイムユアドリーム。Northern Dancerの血を持たない米国血統であることから、Northern Dancerの濃い欧州血統と相性が良く、ユアヒストリー、レオパルディナが活躍している。配合自体は良さそうだ。

ノーザンF関連クラブ×池上和厩舎は大物が出ていないが、勝ち上がり率自体は良い。ダート短距離に出てしまう可能性さえ許容できれば出資検討してみても。個人的にはモーリス産駒の牝馬は見送る方針で。


11. パーシステントリーの22

募集価格 5000万円 牡 林厩舎 ノーザンF生産 4/24生まれ
体高162.0cm 胸囲170.0cm 管囲21.5cm 体重430kg(6月下旬時点)
父キズナ 母父Smoke Glacken

昨年度の当クラブ募集で考察済。
母パーシステントリーはパーソナルエンスンS(米G1・ダ10f)勝ち馬。3代母Heavenly Prizeは米国G1 8勝の名牝。本馬はキズナ産駒で重要なStorm Catの血をいじる配合で、Heavenly PrizeとStorm Catとの相性が良いだけに大物になる可能性あり。

ノーザンF関連クラブ×林厩舎は勝ち上がり率が優秀。芝>ダートの傾向が強い厩舎なら、キズナ産駒の牡馬でも芝で活躍が期待できそう。配合的には魅力だが、母の産駒から活躍馬が未だ出ておらず、繁殖牝馬のポテンシャルに課題が残る。割高感は否めない。


12. グラマラスライフの22

募集価格 3500万円 牡 田中博厩舎 ノーザンF生産 2/25生まれ
体高150.0cm 胸囲167.5cm 管囲19.9cm 体重408kg(6月下旬時点)
父ハービンジャー 母父ハーツクライ

父ハービンジャー×母父ハーツクライはカレンルシェルブル、カーディナルなどが活躍しているが、全体的には成績は良くなく、本馬の祖母がコテコテの米国血統でナスペリオンの血を持たない点でも大きなマイナス。「父ハーツクライ×母米国血統」の繁殖牝馬の産駒は父キングカメハメハ系だけが顕著に走り、逆にそれ以外はほぼ結果が出ていない。
ノーザンFの意向で急上昇中の田中博厩舎、祖母プリティカリーナの高いポテンシャルと期待したい点はあるものの、血統派としては手が出ない。


13. エノラの22

募集価格 4000万円 牡 高柳瑞厩舎 ノーザンF生産 4/23生まれ
体高150.0cm 胸囲162.5cm 管囲19.5cm 体重376kg(6月下旬時点)
父ドゥラメンテ 母父Noverre

ドゥラメンテ産駒のニックスの血がない点は気掛かりにはなるが、Niniskiの血はトニービンの血と相性が良い点で評価したい。ハーツクライ産駒が有名で父キングカメハメハ系でも、ドゥラメンテ産駒が2/3頭、ルーラーシップ産駒が全5頭勝利している。まだ大物は輩出していないが、ドイツ血統と相性の良いドゥラメンテ産駒なら活躍しても不思議ではない。

高柳瑞厩舎はスターズオンアース、トウシンマカオが活躍しており、上位厩舎かと思いきや、今年はまだ4勝と絶不調。ノーザンFとの関係性も薄く、大きな結果も残せていない。遅生まれにしては馬体が小さく、「ドゥラメンテ産駒の高柳瑞厩舎」という罠にしか思えないのだが。そこを問題ないと思える方は出資検討してみても...。


14. メジロツボネの22

募集価格 5000万円 牝 尾関厩舎 レイクヴィラF生産 2/1生まれ
体高154.5cm 胸囲172.0cm 管囲19.2cm 体重428kg(6月下旬時点)
父ドゥラメンテ 母父スウェプトオーヴァーボード

Ambehaving≒クリアアンバーのニアリークロスを持つ繁殖牝馬は堅実に走る。本馬の母メジロツボネの産駒は4/5頭勝ち上がり、フロールデセレッソの産駒は5/6頭勝ち上がりと非常に優秀。
また、スウェプトオーヴァーボードの父エンドスウィープにはMixed Marriageの母Persian Maidの血を持っており、ドゥラメンテ産駒とニックス配合であるSharpen UpやGone Westと同様の効果が期待される。ちなみに、エンドスウィープの血を持つドゥラメンテ産駒は4/10頭勝ち上がり、クリーンスイープ、タッチウッドが活躍しており、現状でも悪くなさそうだ。

メジロラモーヌの牝系はなぜか牝馬は小柄に出やすく、牡馬>牝馬の傾向が強い点が懸念材料。測尺を見てもその傾向が出ていそうで大物感に課題が残る。
堅実に走る保険付きでも割高感は否めない。


15. プラウドスペルの22

募集価格 3500万円 牝 林厩舎 ノーザンF生産 3/13生まれ
体高155.0cm 胸囲172.0cm 管囲20.0cm 体重439kg(6月下旬時点)
父ドゥラメンテ 母父Proud Citizen

一昨年の当クラブ募集で考察済。
Gone Westの血を持つドゥラメンテ産駒は16/26頭勝ち上がり、1頭当たり賞金約6200万円(タイトルホルダー、リバティアイランドを除いても約1800万円)と非常に優秀。父ドゥラメンテ×母米国血統はダート馬に出やすいが、近年はその傾向も薄れつつあり、芝>ダートの傾向が強い林厩舎であれば芝馬に出ても不思議ではない。

ノーザンF関連クラブの勝ち上がり率が高い林厩舎なら堅実に走ってくるだろう。繁殖牝馬のポテンシャルも高く、ヒット~ホームランまで見込める。一口馬主を楽しみたい方にはオススメできる1頭。


つづく