関西馬まとめ短評(No.51~70) キャロットクラブ 2022年度募集

昨年のまとめ短評が好評だったため今年も書いてみました。
思考の整理を目的としており、各馬の信憑性に差があります。参考程度に。
今年のキャロットクラブは厩舎に大きな変化があった印象でした。


51.リラヴァティの21

募集価格7000万円 牡 池添学厩舎 ノーザンF生産
父ロードカナロア 母父ゼンノロブロイ

Sadler’s Wellsの血を持つ3/4 Northern Dancer(Icecapade持ちではあるが)というロードカナロア産駒の成功配合。父キングカメハメハ系×母父ゼンノロブロイの牡馬は、現2歳世代を除き、17/32頭勝ち上がり、1頭当賞金2000万円越えと悪くない内容。ただ、その好成績の多くがルーラーシップ産駒のおかげであり、ロードカナロア産駒ではゴールドギア、レッドアルマーダ、フミロアと活躍馬はいるが、打率はかなり悪くなる。
募集価格を考えると期待値的には強くは推せない。


52.エリティエールの21

募集価格4000万円 牝 藤岡厩舎 ノーザンF生産
父ロードカナロア 母父ディープインパクト

父ロードカナロア×母父ディープインパクトは緩さを強く出すため、母方からパワーを補完する必要がある。特に牝馬はその傾向が強く、総賞金上位馬の多くはDanzigの血を併せ持つ。
本馬の祖母にDeputy Minsterの血はあるのでまったく走らないことはなさそうだが、牝馬だと短距離的なパワーがONになりやすく、母父ディープインパクトと相反する。また、短距離的なパワーの方向性になるのに、初仔という点でも馬体の大きさに課題を残す。
ロードカナロア産駒×藤岡厩舎には、アンヴァル、ビオグラフィー、グランデマーレと活躍馬を輩出しており、相性は良さそうだが。手が出しづらい。


53.バウンスシャッセの21

募集価格5000万円 牝 安田隆厩舎 ノーザンF生産
父ロードカナロア 母父ゼンノロブロイ

Fairy King(=Sadler’s Wells)の血を持つ3/4 Northern Dancer(Icecapade持ちではあるが)というロードカナロア産駒の成功配合。母リッチダンサーの産駒は好成績であったが、祖母になると何故か走らない。ロードカナロア産駒との相性も微妙。結果が出るまでは見送り。
ロードカナロア産駒×安田隆厩舎のニックスに期待するしかない。


54.トータルヒートの21

募集価格7000万円 牡 藤原英厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父ハーツクライ 母父Street Cry

ハーツクライ×Street CryはトニービンとHelen Streetがニアリークロスになるため、好成績を上げている。Helen Streetの血を持つハーツクライ産駒は、現2歳馬を除き、10/11頭勝ち上がり、1頭当賞金約2500万円になる。2歳馬ネアセリーニがPOGで話題になって先日勝利を上げているだけに、いつ大物が出てもおかしくない。
また、本馬はハーツクライと相性の良いNureyev、Seattle Slewの血を持つ点も好感。上記の配合で活躍した馬にはDanzigの血を併せ持っており、それがない点だけが気掛かり。
堅実に走る保険があり、大物狙いまでできる1頭。


55.リリサイドの21

募集価格1億円 牡 藤原英厩舎 ノーザンF生産
父ハーツクライ 母父American Post

リスグラシューの全兄。もちろん配合は素晴らしいが、クローヴィスのように牡馬だと重厚すぎる印象を持つ。G1馬の全弟妹は出資しないという宗教上の理由によりケン。


56.アルアリングスターの21

募集価格5000万円 牝 斉藤崇厩舎 ノーザンF生産
父ハーツクライ 母父Exchange Rate

母アルアリングスターはBCジュヴェナイルフィリーズ(米G1・D8.5f)2着、シャンデリアS(米G1・D8.5f)2着の実績。
Promised Landのクロスを持つハーツクライ産駒は、現2歳馬を除き、15/31頭勝ち上がり、1頭当賞金約3700万円と優秀。ノーザンF生産馬に限ると、ウインバリアシオン、エクレアスパークル、グラティアスが活躍している。Danzig、Seattlewなど一見するとハーツクライと相性の良い血が多そうだが、ハーツクライ×米国血統の牝馬は走らない。上記の活躍馬はすべて牡馬だ。
額面上はいかにも走りそうに思えるが、筆者はまったく評価しない。お金があって夢を見たい方はご自由にどうぞ。


57.サトノオニキスの21

募集価格5000万円 牡 池江寿厩舎 ノーザンF生産
父エピファネイア 母父ディープインパクト

エピファネイア×ディープインパクトは柔らかくなりやすいため、重賞で好走した3/4頭はSadler’s Wellsの血を持つように、祖母には締める血を持っていることが重要。本馬にはその締める血がなく、祖母が独オークス馬であることから、中長距離×中長距離×中長距離という配合になるのはマイナス。間違いなく晩成に出る。
祖母ミスティックリプスはドイツ血統らしく牡馬の方が圧倒的に走る。そんな中、少し良い走りを見せた母サトノオニキスの競走能力は評価でき、その繁殖レベルの高さを期待したいところだが…。


58.レーヴドゥラメールの21

募集価格4000万円 牝 須貝厩舎 ノーザンF生産
父エピファネイア 母父ロードカナロア

ロードカナロア×シーザリオは父母相似配合になるため、父エピファネイア×母父キングカメハメハのようにシーザリオのキレを引き出せるニックス配合になる可能性がありそう。ただ、母父ロードカナロアなだけあって、配合的には緩×緩×緩と締める血の方が圧倒的に少ない点が懸念される。レーヴドスカーの牝系も祖母になって以降、結果が出ていないこともあり、見送りたい。


59.シンハリーズの21

募集価格6000万円 牡 池添学厩舎 ノーザンF生産
父キズナ 母父Singspiel

シンハリーズ牝系は総じて、牡馬はスタミナ/牝馬はキレが伝わりやすい。そのため、牡馬<牝馬の傾向になる。そこにパワーが強いキズナ産駒牡馬となれば、キレ味が削がれる方向に進むだろう。繁殖レベルが非常に優秀なので、ある程度堅実に走ってくるだろうが、大物になれるかというと疑問。繁殖牝馬の産駒は総じて故障リスクも高め。


60.マンビアの21

募集価格3000万円 牝 西村厩舎 ノーザンF生産
父キズナ 母父Aldebaran

セレクトセール1歳2200万円で落札。
どんな種牡馬でも堅実に走る優秀な繁殖である母マンビア。母父Aldebaran(アルデバランⅡ)が優秀であることも要因の1つだろう。本馬は、Alzao≒Aviance 4×4を持つのが魅力。Avianceの血を持つディープインパクト系種牡馬は、現2歳馬を除き、10/18頭勝ち上がり、1頭当賞金約3000万円と非常に優秀。キズナ産駒ではマルターズディオサ、カフジテトラゴンが活躍している。
Donatello+Hyperionの血や北米パワーが薄いため、キズナ産駒としてのスケール感がない点が気掛かりではあるが、堅実に走れる可能性は大。セール価格が想像以上に安かったのは小柄だからか。そこを許容できれば。


61.アディクティドの21

募集価格4000万円 牝 高野厩舎 ノーザンF生産
父キズナ 母父Diktat

In Realityの血を持つキズナ産駒は、29/49頭勝ち上がり、1頭当賞金約2200万円と堅実に走る。ただ、キズナ産駒の配合で重要なStorm Catいじりがなく、牝馬が走らない典型的なドイツ牝系なだけに見送り。


62.ディーパワンサの21

募集価格4000万円 牡 松下厩舎 ノーザンF生産
父ドゥラメンテ 母父ディープブリランテ

相性の良いSadler’s Wells≒Nureyevの血はあるものの、特段配合的に強調できる材料はない。祖母ポロンナルワはGlorious Sog2×3を持つだけに牝系に入って良さが出そうで、母同様に初仔でやや小柄に出ても堅実には走りそうではあるが、その代償として故障リスク高めでもある。募集価格ほどの魅力はない。


63.ビートリックスキッドの21

募集価格3000万円 牝 西村厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父ドゥラメンテ 母父Victory Note

母がFairy King×Lear Fanという血統にドゥラメンテ(父キングカメハメハ)交配したことで、Nashua≒Nantallah6・8×6・6・7とパワーを増幅した血統構成。ドゥラメンテ産駒の相性良い血が少なく、特段配合的に強調できる材料はない。
これだけパワーの寄った配合で追分Fリリーバレー育成だと思った以上にパワーが強く出る可能性も懸念される。リスク回避的に敬遠。


64.ココシュニックの21

募集価格3200万円 牝 高野厩舎 ノーザンF生産
父ドゥラメンテ 母父クロフネ

父キングカメハメハ系×母父クロフネという配合は、ノーザンF生産馬では20/34頭勝ち上がり、1頭当賞金約3400万円になる。ドゥラメンテ産駒ではまだ結果が出ていないが、いつ活躍馬が出てもおかしくない。
本馬は母の実績・血統からダート馬になる可能性が高い。上記の可能性を意識しながらも、現状では配合的な強調材料がないだけに、リスク回避的に敬遠。


65.アドマイヤローザの21

募集価格5000万円 牡 高野厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父ハービンジャー

トニービン+Tom Foolの血をモーリス産駒牡馬は、6/9頭勝ち上がり、1頭当賞金約1700万円になり、メモリーエフェクト、レガトゥスが活躍している。母父キングカメハメハを除いても悪くない成績だ。また、父モーリス×エアグルーヴ牝系の牡馬はレガトゥス、カランドゥーラ、ハギノモーリスなど堅実に走る点は魅力。
本馬はDanehill経由のDanzig5×5、ノーザンテースト≒Vice Regent5×6の血を持つパワーに富んだ配合。Danehill経由のDanzigクロスのモーリス産駒は豪州で活躍した血統構成で、日本の馬場だとややパワー過多な印象を持つ。募集価格ほどの活躍が期待できるか疑問。手が出ない。


66.リスグラシューの21

募集価格1億2000万円 牡 矢作厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父ハーツクライ

特段配合的に強調材料がなく、むしろ重厚すぎる印象を持つ。
募集価格が高額すぎて、リスク回避的に見送り。


67.ディアデラマドレの21

募集価格6000万円 牡 松永幹厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父キングカメハメハ

父モーリス×母父キングカメハメハの牡馬は、現2歳馬を除き、8/11頭勝ち上がり、1頭当賞金約1600万円になる。アルビージャ、ソリタリオ、レガトゥスなどが活躍している。本馬は「3/4 Northern Dancer、1/4異系」「緊張→緩和」が綺麗な好配合馬。ポトリザリス牝系は牡馬だとパワーが強く出る傾向にあるため、モーリス産駒だとやや鈍重になりそうな点だけが気掛かり。赤字覚悟で大物狙いなら。


68.ペルレンケッテの21

募集価格4000万円 牡 武英厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父ディープインパクト

母プンティラはLiterat3×4、Aggravate2×5というクロスの濃いドイツ血統。自己主張が強いのか、この牝系は母ペルレンケッテ以外まったく結果が出ていない。
走ったらごめんなさい。


69.レネットグルーヴの21

募集価格2400万円 牝 橋口慎厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父キングカメハメハ

モーリスと相性の良いトニービン+Tom Foolの血、母父キングカメハメハを持つのが非常に好感。ただ、牝馬だとまったく成績が振るわない。ノーザンFの育成ノウハウにより突然走る可能性もゼロではないが、現状では手が出ない。


70.マルティンスタークの21

募集価格2800万円 牝 松永幹厩舎 ノーザンF生産
父サトノダイヤモンド 母父シンボリクリスエス

母マルティンスタークは濃いクロスがないため、父が濃いクロスを持つ方が良い。父サトノダイヤモンドはHalo3×4・5、Northern Dancer5×5・5と濃いクロスを持つだけに、いかにも相性が良さそう。サトノダイヤモンド産駒は母方からスピードを補完するのが重要。本馬の母はそのスピードの血はないものの、祖母ラテルネが短距離馬だったことからスピード補完も問題ないだろう。
あとは本馬の牝系が重賞で頭打ちになるスケール感に欠ける点だけ。サトノダイヤモンド産駒の成功配合が分からず、まだ勝ち上がり1頭のみではあるが、上級条件まで活躍する可能性は十分ありそうだ。


つづく