関東馬まとめ短評(No.1~20) シルクホースクラブ 2022年度募集

昨年のまとめ短評が好評だったため今年も書いてみました。
思考の整理を目的としており、各馬の信憑性に差があります。参考程度に。
特に今年は難しかった。


1.リアオリヴィアの21

募集価格5000万円 牡 奥村武厩舎 ノーザンF生産
父ロードカナロア 母父ディープインパクト

ディープ×Unbridled's Song×Storm Catの形を満たす点が本馬の魅力。ロードカナロア産駒でこの配合パターンを持つ馬はサラドリーム1頭のみで結果を残している。
ただ、ロードカナロア産駒が重要とする、締める血がNumbered Accountしかなく、母リアオリヴィア同様に柔らかすぎてパワー不足になる可能性が懸念される。初仔で小柄に出た点でも大きなマイナス材料。


2.クードラパンの21

募集価格4500万円 牝 武井厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父ロードカナロア 母父ダイワメジャー

ロードカナロア×ダイワメジャーは、Storm Catとスカーレットブーケがニアリーな関係になるのがポイント。この配合により、パワーが強く出すぎる傾向にあり、勝ち上がり率に課題を残す。本馬はFrench Deputyの血も持ち併せることから、よりパワーに寄った血統構成。イルクオーレのように短距離で活躍できるのが理想だが。


3.プチノワールの21

募集価格5000万円 牝 鹿戸厩舎 ノーザンF生産
父ロードカナロア 母父Singspiel

Sadler’s Wellsの血を持ち、自身は3/4 Northern Dancerと、近年のロードカナロア産駒の成功配合のパターン。ブランノワールになるかデュードメールになるかは、馬体の分かる方に聞いてください(苦笑)。
それよりもビシビシ栗東坂路の須貝厩舎から乗り込みコース調教の鹿戸厩舎に変わることが大きな不安。


4.オープンウォーターの21

募集価格3500万円 牡 宮田厩舎 ノーザンF生産
父ダイワメジャー 母父Include

母は米国GⅡ勝ち馬で、祖母の3/4同血姉Surfsideは米国G1 4勝、祖母の弟はバトルプランという良血。配合的に強調材料がなく、ダート馬になる可能性が高い。あとは牝系のポテンシャルでどこまでやれるか。Storm Cat持ちと交配してほしい。


5.アトミカオロの21

募集価格2800万円 牝 手塚厩舎 ノーザンF生産
父ダイワメジャー 母父Orpen

母アトミカオロは亜1000ギニー勝ち馬で、パワーとスピードを凝縮した血統構成。本馬はHalo3×5、スカーレットブーケ≒Storm Catニアリー2×4を持つことで、そのパワーとスピードを増幅した配合。スミレみたいに活躍するのが理想ではあるが、Pretty Pollyをいじる血がない点がやはりマイナスで、スピード一本調子になる可能性が高そう。


6.ロッテンマイヤーの21

募集価格5500万円 牡 林厩舎 ノーザンF生産
父エピファネイア 母父クロフネ

配合的に強調材料がなく、エピファネイア産駒の緩さを助長してしまいそうな配合。クロフネの血を配合するとRobertoのクロスになるのも微妙。林厩舎×ノーザンF関連クラブは相性抜群で近年信頼度が高いが、高額でもあり手が出しづらい。


7.リビアーモの21

募集価格5000万円 牡 木村厩舎 ノーザンF生産
父エピファネイア 母父アドマイヤベガ

父エピファネイア×母父アドマイヤベガの配合は、2/3頭が勝ち上がり、ノーザンF生産馬に限ればフォラブリューテ、ヴィルヘルムの2頭がともに活躍している。根拠は分からないが、2頭とも母系がスプリンター・マイラーの活躍馬という点は大きい。本馬の祖母はサクラバクシンオーの全妹という快速馬なだけに、上記2頭と同様に活躍しても不思議ではない。


8.ブリスフルデイズの21

募集価格4000万円 牝 黒岩厩舎 ノーザンF生産
父エピファネイア 母父キングカメハメハ

父エピファネイア×母父キングカメハメハはニックス配合で、特に牝馬は12/24頭勝ち上がり、1頭当たり賞金約4000万円と非常に優秀。サンデーサイレンスの血を持たなくても、イズジョーノキセキが活躍しており問題ないだろう。
血統派として考察すると、3代母カーリーエンジェルはノーザンテーストの粘りとBold Rulerの機動力を強く伝える。本来、エピファネイア産駒はシーザリオのキレを伝える方向にすべきだが、この血によってシンボリクリスエスのパワーを伝えてしまう可能性がありそう。


9.メリーウィドウの21

募集価格4000万円 牡 栗田厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父ドレフォン 母父ゴールドアリュール

母がReluctant Guestとジュエルダンサーのニアリークロスを持ち、父系からStorm Catの血を入れることで継続クロス(Storm Bird≒Nijinsky、Bold Ruler+Princequilloクロス)させたのが本馬の配合ポイント。産駒が活躍しているのはもちろん繫殖レベルが高いこともあるが、この配合を持つことが大きな要因と考える。今回牡馬に出ただけに今まで以上に産駒が走る可能性も十分。ダートで堅実に走りそう


10.シャクンタラーの21

募集価格2800万円 牝 高柳瑞厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父ドレフォン 母父ゼンノロブロイ

父ドレフォン×母父ゼンノロブロイは4/7頭勝ち上がり。そのうち2頭が1勝クラスを勝ち上がっており、一見相性が良さそうに見えるが、その2頭はドレフォンのニックス配合であるUnbridledの血を持つ。
配合的に強調材料がなく、ダート牝馬は手が出しづらい。


11.サンデースマイルⅡの21

募集価格3500万円 牝 尾関厩舎 ノーザンF生産
父ドレフォン 母父Sunday Silence

兄姉8頭すべて勝ち上がりという優秀な繁殖。父・母父ともに母の良さを引き出す種牡馬なだけあって、牝系のポテンシャルを伝えそうな点に好感が持てる。堅実に走りそうではあるが、クロスが濃い種牡馬の方が好成績な点が気掛かり。


12.レスペランスの21

募集価格3000万円 牡 辻厩舎 ノーザンF生産
父ハービンジャー 母父キングカメハメハ

歩様に乱れが生じたことから募集中止


13.キャンディケインの21

募集価格2000万円 牝 武市厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父ハービンジャー 母父ハーツクライ

配合的に強調材料がなく、厩舎・ノーザンFの意向としても評価できない。
走ったらごめんなさい。


14.ロゼリーナの21

募集価格4000万円 牡 田村厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父キングカメハメハ

父モーリス×母父キングカメハメハの牡馬は10/13頭が勝ち上がり。2歳馬を除くノーザンF生産馬は、1頭当たり賞金は約3000万になる。この配合の2歳馬も2戦2勝と活躍している点も良い。Shirley Heightsの血もモーリス産駒と相性が良い。
田村厩舎自体は悪くはないが、ノーザンFの意向としては微妙。厩舎に対して悪い印象がなければ出資検討してみても。


15.ツルマルワンピースの21

募集価格6000万円 牡 大竹厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父キングカメハメハ

母はトライマイベスト=El Gran Senor全兄弟クロスを持ち、繁殖レベルが高い繁殖牝馬。本馬の配合ポイントはAmerifloraとエラティスがニアリーな関係になる点にある。それが影響してか馬体が非常に大きく出た。いじり方を変えたせいか今までの産駒とは異なる印象を持つ。牡馬であれば堅実に走ってきそうだが、それにしても高額。


16.ブレッシングテレサの21

募集価格2000万円 牝 嘉藤厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父マンハッタンカフェ

配合的に強調材料がなく、モーリス産駒の小柄な牝馬はリスクが高い。
厩舎・ノーザンFの意向不明。走ったらごめんなさい。


17.クッカーニャの21

募集価格2500万円 牝 菊沢厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父フジキセキ

3/4 Northern Dancerの形で緊張→緩和のリズムが綺麗な配合。しかし、似た配合パターンの兄姉でも結果が出ておらず、強調できるニックス配合もない。加えて、モーリス産駒の牝馬では手が出ない。走ったらごめんなさい。


18.ラッドルチェンドの21

募集価格7000万円 牡 国枝厩舎 ノーザンF生産
父ドゥラメンテ 母父Danehill Dancer

ドゥラメンテ産駒と相性の良いSharpen Upの血を持ち、Danehillの血を持つことで緩さをなくしている点は好感。ただ、キングカメハメハ系のKingmamboクロスはあまり結果が出ておらず、筆者は逆ニックスとさえ思っている。血統評論家・望田氏はリアルスティール産駒の考察の際に、「Kingmambo=MonevassiaはRibot肩が伝わる」と主張されていただけに、その影響が少なからずあると予想できる。
結果が出るまでは敬遠。高額すぎて期待値が見合わない。


19.ミスエーニョの21

募集価格4500万円 牝 林厩舎 ノーザンF生産
父ドゥラメンテ 母父Pulpit

配合的な強調材料がなく、ドゥラメンテ×米国血統はダートに出る可能性もある。母のポテンシャルが高いので、芝・ダート問わず堅実には走りそうだが、期待値を考えると募集価格が高すぎる。


20.ギモーヴの21

募集価格4000万円 牡 手塚厩舎 ノーザンF生産
父ルーラーシップ 母父ハービンジャー

キングカメハメハ・エアグルーヴ・ハービンジャーによってナスペリオン血脈を増幅している点が本馬の魅力。父キングカメハメハ系ではバジオウ・ドゥラドーレスが、ハービンジャー産駒ではボーデン・ローシャムパークなどがこの配合パターンで活躍している。
注目すべきなのは、バジオウ、ドゥラドーレスがともにNijinskyの血を持つことだ。Nureyev+Nijinskyの血を入れてDansiliのナスペリオン増幅を狙うのがハービンジャー産駒の成功配合であったが、母父でも同様に有力と言えよう。これらすべてを満たす配合馬は、牡馬に限れば、バジオウ、ドゥラドーレス、スモアの3頭だけ。
ダンスインザダーク=ダンスインザムードの血がないとダメ。Nijinskyの血が薄くONにならない、7/8同血のスモアが走ってないなど、想定される反論はたくさんあるが...。


つづく