アイリッシュシーの19 シルクホースクラブ 2020年度募集

アイリッシュシーの19 募集価格2800万円

牝 高橋文厩舎 ノーザンF生産

父キズナ 母父Galileo

母アイリッシュシーは目立った活躍を見せていないが、3代母Beuty Is Truthが世界的な名繁殖。ザユナイテッドステイツがATCランヴェットS(豪GⅠ・芝2000m)勝ち馬、ハハイドレンジアがBCフィリーズ&メアズS(英GⅠ・芝11F211Y)などGⅠ2勝、ハモサが英1000ギニー(英GⅠ・芝8F)、愛1000ギニー(愛GⅠ・芝8F)勝ち馬。そして、本馬の祖母Fire Lilyはマルセルブサック賞(仏GⅠ・芝1600m)、モイグレアスタッドS(愛GⅠ・芝7F)で2着と2歳時から活躍した重賞3勝馬。


本馬はキズナ産駒の成功の鍵となるStorm Catをいじった好配合馬で、特に牝系の奥に相性の良いCaerleon、In Realityの血があるのが好感。Caerleonの血を持つ馬にはマルターズディオサ、アプレイズ、In Realityの血を持つ馬にはビアンフェなどが活躍している。そして、両方の血を持つ馬にはクリスタルブラックがいる。

◆Caerleonの血を持つキズナ産駒

◆In Realityの血を持つキズナ産駒


母方のスケール感とキズナ産駒の成功配合から大物感を感じさせる血統構成にはなるが、相性の良い血が5代血統表にないほど薄く、むしろ自己主張の強い母父Galileoの重厚な欧州血統が強く出てしまう懸念がある。

キズナ産駒はAlzao≒Storm Catを増幅するのが重要なため、重厚な欧州型血統を入れすぎるとスピードが鈍る傾向にある。その証拠として、Sadler’s Wellsの血を持つキズナ産駒は成績が悪く、母父Galileoとなれば他の種牡馬以上に不安が大きい。ちなみに、父キズナ×母父Galileoの配合は1/3頭勝ち上がりで、その1勝は不良馬場でのもの。


【総評】

キズナ産駒の相性が良い血が多く盛り込まれ、牝系が世界的に活躍する系統と、一見すると大物感を感じられる血統構成に思えるが、欧州型スタミナ血統が強く伝わりそうな印象で、キズナ産駒の持ち前のスピードが生かせない懸念が大きい。高橋文厩舎はまだ大物と呼べる馬を輩出しておらず、ノーザンFとの関係も薄い。早期仕上げの傾向があり、2~3歳戦で活躍して、その後伸び悩むことが多いのは意識したいところだ。

日本の馬場に合わない母父Galileoの牝馬を募集価格2800万円で買おうという気があまり起きず、厩舎の方針・調教にもあまりマッチしなそう。大物感あると思われる方はどうぞ。


堅実性  ★★★☆☆

大物感  ★★☆☆☆

お買い得 ★★☆☆☆