【血統考察】関西馬No.66~80 キャロットクラブ 2023年度募集

66. アロマドゥルセの22

募集価格3000万円 牝 辻野厩舎 ノーザンF生産 3/5生まれ
体高152.5cm 胸囲172.0cm 管囲18.6cm 体重394kg

父レイデオロ 母父ディープインパクト

本馬の牝系はなぜか牡馬<牝馬の傾向が強く、ノーザンF生産の牝馬では5/6頭勝ち上がり、1頭当賞金約3900万円になる。母・祖母のように牝馬特有のキレではなく、パワー・スタミナで勝負する馬になりそうだ。レイデオロのNashua≒Nantallahのパワーを増幅させた牝馬であっても、パワー・スタミナで勝負するなら問題ない。

辻野厩舎は角居厩舎の元番頭として有名で、角居厩舎を引き継ぎ開業数年で結果を出した優秀な厩舎。角居厩舎を長きにわたり牽引し、キャロットF馬でも結果を残した功績を考えれば、いつ良い馬が回ってきてもおかしくない。ノーザンFの意向は現状微妙でも悲観する必要はない。

血統・厩舎がそれほど悪くないだけに、ここまで小柄に出てしまったのは残念。小柄な牝馬がパワー・スタミナで勝負するのは分が悪い。元々スケール感に欠ける牝系なのに、これでは大物感は一切ない。母・祖母くらい大きくなればだが。


67. プルメリアスターの22

募集価格3000万円 牝 平田厩舎 ノーザンF生産 3/23生まれ
体高155.5cm 胸囲169.0cm 管囲20.0cm 体重406kg

父レイデオロ 母父ゼンノロブロイ

Nureyev≒Sadler’s Wells 5×5、Lyphard 6×5・6、Mill Reef 6×5・7、Seeking the Gold≒マイニング 4×4、Tri Argo≒I Pass 5×5という父母相似配合で、かなりパワーを増幅した血統構成。Sadler’s Wellsの血・ゼンノロブロイの血を持つ父キングカメハメハ系は牡馬>牝馬の傾向が強く、フレンチ斬れを増幅していてもそれが再現されるかは微妙。

そんなパワー型なだけに母同様に馬格が小さく出たのはマイナス。平田厩舎というのもノーザンFの意向として良くない。見送り。


68. ディーパワンサの22

募集価格4000万円 牝 高野厩舎 ノーザンF生産 4/14生まれ

体高151.0cm 胸囲174.5cm 管囲18.8cm 体重402kg
父レイデオロ 母父ディープブリランテ

祖母ポロンナルワはGlorious Song 2×3を持つ父母相似配合で母の特徴を強く伝える傾向にあり、シンハリーズ牝系らしく牝馬はしっかり結果を出している。本馬はNureyev≒Sadler’s Wells 5×5・6を持つレイデオロ産駒ではあるが、Rivermanのフレンチ斬れやHalo≒RedGodを併せ持っており、シンハリーズのキレが使えても良さそう。

母・祖母の産駒はとにかく体質・脚元の問題だけ。それだけに高野厩舎は非常に不安。近年はマシになったが、高野厩舎はよく壊すイメージが拭えない。
故障リスク承知であれば出資検討しても良さそうだが…。


69. クァンタムミスの22

募集価格3600万円 牡 松永幹厩舎 田端牧場生産 2/2生まれ
体高154.0cm 胸囲178.0cm 管囲21.6cm 体重488kg
父ナダル 母父Smoke Glacken

セレクトセール2022当歳にて2090万円で落札。
母クァンタムミスはシカーダS(米G1・D6f)勝ち馬。繫殖牝馬のポテンシャルに課題があり、特段配合的に強調材料はない。走ったらごめんなさい。


70. ボールドアテンプトの22

募集価格3000万円 牡 上村厩舎 社台コーポレーション白老F生産 3/28生まれ
体高157.0cm 胸囲177.0cm 管囲20.6cm 体重475kg
父ナダル 母父ゴールドアリュール

母がゴールドアリュール×ブライアンズタイムなので、黄金配合にさせるために父にMr.Prospector 4×4を持っている点が好感。母父ゴールドアリュール×母母父Roberto系の繁殖牝馬において、Mr.Prospector(≒Raise a Cup)を種牡馬に持つ牡馬は、現2歳馬を除くと5/6頭勝ち上がっている。

また、本馬の3代母ジョリーザザのボルキロ+ナスキロも増幅している点も好感で、スピードを補完している点も大きい。ナスキロの血を持つ種牡馬×ジョリーザザ牝系の牡馬には、サダムロードショー、ユーロウインドと何気に堅実に走る。

上村厩舎は勝利数・獲得賞金を毎年上げてきており、現在リーディング4位。ノーザンFの意向は微妙でも本馬は追分Fリリーバレー育成。あまり気にしなくていいだろう。血統・厩舎ともに良さそうなだけに、キャロットクラブ募集になったことだけが気掛かり。走るならG1レーシングで募集すると思うが。
追分Fリリーバレー育成でも問題ないと思える方にはオススメできる1頭。


71. エスティタートの22

募集価格2800万円 牝 松永幹厩舎 社台コーポレーション白老F生産 2/9生まれ
体高155.5cm 胸囲179.0cm 管囲20.2cm 体重469kg
父ナダル 母父ドリームジャーニー

母父ドリームジャーニーは8/13頭勝ち上がり、フルムが活躍している。母父オルフェーヴルも近年活躍しており、活躍馬の牝系のポテンシャルを考えれば優秀。米国血統で結果を残している点は本馬にとっては良いデータだ。

祖母スキッフルの系統はHyperionが濃い晩成タイプ・バテない粘りが特徴。9/12頭勝ち上がり、1頭当賞金約6000万になる。ナスペリオンが強い配合のため牡馬>牝馬の傾向があり、堅実性・期待値ともに下がる点がどうか。

勝ち上がれさえすれば古馬になって開花する楽しみはある。募集価格越えの目標なら。好配合馬ではなく、ナダルの鍵となる配合をいじってないため、個人的には好みではない。


72. カイカヨソウの22

募集価格2800万円 牝 西村厩舎 社台コーポレーション白老F生産 3/28生まれ
体高155.5cm 胸囲180.0cm 管囲19.6cm 体重449kg
父ナダル 母父ティンバーカントリー

母カイカヨソウ・半姉カイカノキセキともに2歳重賞で活躍した早熟血統。それだけにダート牝馬だと活躍の場が限られてしまう点は気になるところ。牧場見学ツアーに行かれる方は現状の仕上がりは確認した方が良い。

Bound≒Fairy King 4×4、Seeking the Gold≒Woodman 4×3とLiableの血を綺麗にいじった配合は好感。繁殖牝馬のポテンシャルから堅実には走りそうだし、11月上旬に実施時期が変わるエーデルワイス賞を大目標にしたくなる。現状の仕上がりが良ければ、出資検討したい1頭。


73. アドヴェントスの22

募集価格2600万円 牝 西園正厩舎 社台コーポレーション白老F生産 1/17生まれ

体高151.0cm 胸囲181.0cm 管囲19.6cm 体重482kg
父ドレフォン 母父ジャングルポケット

トニービンの血を持つドレフォン産駒は16/30頭勝ち上がり、本馬と異母同血のグランサバナも勝ち上がっている。もはや本馬の牝系は脚元・体質の弱さだけ。母の産駒で結果を残せていない以上は見送り。


74. ブルーメンブラットの22

募集価格4000万円 牝 池添学厩舎 ノーザンF生産 2/12生まれ

体高154.5cm 胸囲179.0cm 管囲20.1cm 体重476kg

父ドレフォン 母父アドマイヤベガ

母ブルーメンブラットの産駒は9/10頭勝ち上がり(そのうち1頭は地方から出戻り後に活躍)、1頭当賞金約2300万円と堅実に走る優秀な成績。ドレフォンが母の良さを引き出す種牡馬であるため、本馬もTom Foolの捌きを持ち味に堅実に走ってくるだろう。また、Topsider+Sir Gaylordの血を持つ繁殖牝馬は父Storm Cat系と相性が良く、産駒が少ない中でもハヤブサレジェンド、ハイアムズビーチが活躍している。

ただ、半兄姉と比べると配合的な魅力は劣り、その馬達も大きく稼げていないことを考えると、母の繫殖牝馬としてのポテンシャルに限界を感じる。堅実に走る保険はあれど、募集価格越えが大目標になりそうで手を出しにくい。


75. シンハリーズの22

募集価格3000万円 牝 斉藤崇厩舎 ノーザンF生産 4/7生まれ
体高154.0cm 胸囲170.5cm 管囲19.5cm 体重411kg
父サトノダイヤモンド 母父Singspiel

「3/4 Northern Dancer+Halo、1/4異系」の形という好配合馬。母シンハリーズの産駒でNorthern Dancer+Haloをいじった配合パターンはとにかく堅実に上級条件まで走る。牡馬<牝馬の傾向が強く、牝馬特有のキレを強く伝えるため、スタミナ色の強いサトノダイヤモンドでも走れるだろう。Devil's Bag=Glorious Song全姉弟クロスはまだ結果が出ていないが、本馬に関しては気にする必要はないという見立てだ。

母が高齢になって近年では安定性に欠ける・小柄に出るなど不安要素は大きいが、この募集価格であれば全然買える。一口馬主を楽しむのにオススメできる1頭。


76. レネットグルーヴの22

募集価格5000万円 牡 斉藤崇厩舎 ノーザンF生産 2/4生まれ
体高155.0cm 胸囲182.5cm 管囲21.1cm 体重482kg
父ルヴァンスレーヴ 母父キングカメハメハ

父ルヴァンスレーヴ×母父キングカメハメハはいかにも相性が良さそうな注目の配合ではあるものの、キングカメハメハ×エアグルーヴ×ダイナカール牝系を持つならナスペリオンを生かした配合にしたいところ。母の産駒から重賞勝ち馬ローシャムパークを輩出したのはナスペリオン増幅が要因。ナスペリオンの血がない父Roberto系とダイナカール牝系は合わない。
血統派としては推せず、募集価格が高額では見送り。


77. スターダムバウンドの22

募集価格3200万円 牝 茶木厩舎 ノーザンF生産 2/10生まれ
体高151.0cm 胸囲174.0cm 管囲18.7cm 体重421kg
父オルフェーヴル 母父Tapit

世界のダート種牡馬オルフェーヴル×母がコテコテの米国血統ならダートに出る可能性がかなり高い。母方にナスペリオンの血、「Donatello+Hyperion」、ノーザンテーストをいじる血などオルフェーヴル産駒で重要な血が一切ない点は大きなマイナス。
馬格の小さいダート牝馬でもあって見送り。


78. リプリートⅡの22

募集価格3600万円 牡 池江寿厩舎 ノーザンF生産 2/2生まれ
体高155.0cm 胸囲183.0cm 管囲20.8cm 体重475kg
父ルーラーシップ 母父Makfi

祖母Banks HillはDansiliの全妹で英仏米G1 3勝を挙げた名牝、叔母Romanticaはジャンロマネ賞(仏G1・芝2000m)勝ち馬という良血。Makfiは母父で結果を残しており、牡馬に限れば、3/4頭勝ち上がり、パラレルビジョンが活躍している。血統評論家・望田氏が「Makfiはブルードメイアサイアーとして成功するのではないかと考えている」と主張するほど注目すべき血統だ。

Dansiliの血を持つ父キングカメハメハ系牡馬は現2歳馬を除き、11/23頭勝ち上がり、1頭当賞金約2000万円になる。社台系生産馬に限れば、7/12頭勝ち上がり、1頭当賞金3600万円にもなる。Nureyev+Nijinskyの血で名繁殖Hasiliをいじることが要因だろう。Dubawiの血を持つ父キングカメハメハ系も結果を残しているし、サンデーサイレンスの血がなくとも評価できる配合だ。

池江寿厩舎というのも魅力。ハービンジャー産駒を筆頭にナスペリオン牡馬の扱いはお手の物。ルーラーシップ産駒×池江寿厩舎は2/4頭勝ち上がり、ソウルラッシュ、アステロイドベルトが活躍している。近年ノーザンFクラブ馬で結果を残せておらず、ノーザンFの序列が下がっている可能性が懸念される。
厩舎が問題ないと思える方にはオススメできる1頭。


79. ギーニョの22

募集価格3000万円 牡 藤岡厩舎 ノーザンF生産 4/5生まれ
体高154.0cm 胸囲172.5cm 管囲21.5cm 体重438kg
父ニューイヤーズデイ 母父サンデーサイレンス

勝ち上がり率が高い繁殖牝馬。ただ、牝系のイメージと違ってスケール感はまったくない。
特段配合的に強調材料がなく、募集価格越えが大目標になりそう。見送り。


80. グランデアモーレの22

募集価格2400万円 牝 石坂公厩舎 社台コーポレーション白老F生産 4/12生まれ
体高154.0cm 胸囲178.5cm 管囲19.1cm 体重444kg
父ニューイヤーズデイ 母父ネオユニヴァース

どんな種牡馬でも堅実に走る優秀な繫殖牝馬。本馬は父ニューイヤーズデイ×Sunset牝系という配合でトニービンといかにも相性が良さそう。新馬戦が得意なのを生かして勝ち上がり、アワブラ入りできたら面白い。

配合的に特段強調材料はないが、ニューイヤーズデイはMachiavellian・Dixieland Band・Boulevardとネオユニヴァースと相性が良い血が多いため、ニューイヤーズデイ×ネオユニヴァースは悪くないかもしれない。

堅実に走る保険付きでアワブラ入りの楽しみもある。赤字覚悟でよければ狙ってみても良いだろう。”芦毛は正義” 一口馬主として応援しがいがある1頭。


つづく