【血統考察】関東馬No.32~50 キャロットクラブ 2023年度募集

32. ティンバレスの22

募集価格2800万円 牝 加藤士厩舎 ノーザンF生産 2/8生まれ
体高160.5cm 胸囲183.5cm 管囲20.5cm 体重497kg
父オルフェーヴル 母父ウォーエンブレム

父オルフェーヴル×母父ウォーエンブレムは2/3頭勝ち上がり、リアンティサージュが活躍している。そのリアンティサージュと共通点しているのが、オルフェーヴル産駒の成功配合である「3/4 Northern Dancer+Specialの血」持ちだ。ただ、活躍馬と比べると、ノーザンテーストの血を増幅していない点で大物感に欠ける印象を持つ。

加藤士厩舎は開業5年目の若手調教師。芝<ダートの傾向が強く、厩舎×血統の相性は悪くないものの、まだ大きな結果を残せていない。ノーザンFの意向としても微妙。募集価格越えが目標になる印象だ。


33. エリスライトの22

募集価格4000万円 牡 池上和厩舎 ノーザンF生産 2/14生まれ

体高154.0cm 胸囲171.5cm 管囲20.6cm 体重442kg
父ルーラーシップ 母父ディープインパクト

Kingmambo 3×4、Nureyev≒Sadler’s Wells 5×5・6を持ち、母方の奥にRibotがあることからRibot肩&ラトロ肩になる可能性が高い。母父ディープインパクトでも他に柔らかい血がなく、上記の傾向が強く出るだろう。
筆者はKingmamboのクロスは走らないと主張しているため見送り。


34. コンダクトレスの22

募集価格2800万円 牝 斎藤誠厩舎 社台コーポレーション白老F生産 2/7生まれ
体高154.5cm 胸囲175.5cm 管囲19.5cm 体重469kg
父ルーラーシップ 母父ホワイトマズル

トニービン 3×4、Nureyev 5×5とナスペリオンを増幅した血統構成。ルーラーシップ×ジャングルポケットは牡馬なら全2頭勝ち上がり、ライラックカラーが活躍しているが、牝馬はまったく結果が出ていない。トニービンのクロスも同様の結果で、これはナスペリオン増幅の”牝馬”は走らないことが要因だろう。見送り。


35. コロナシオンの22

募集価格3600万円 牡 手塚厩舎 ノーザンF生産 3/16生まれ
体高154.0cm 胸囲179.5cm 管囲21.0cm 体重453kg
父フィエールマン 母父キングカメハメハ

父ディープインパクト系×ビワハイジの牝系は全5頭勝ち上がり、ディープインパクト×ビワハイジを除いても全2頭勝ち上がり、キタサンブラック産駒でも勝ち上がっている。

種牡馬フィエールマンはNijinsky胴長ストライドを強く伝える印象を持つため、ラトロ肩・Ribot肩にしていくのが効果的だと筆者は考える。祖母ブエナビスタはまさにそのNijinsky胴長ストライド+ラトロ肩で成功した名牝。だが、産駒にはその伸びのあるストライドは再現されずラトロ肩の方が強く伝わってしまっている。産駒が思ったほど結果が出ないのはそのためだ。このことから、フィエールマン×ブエナビスタという配合はいかにも相性が良さそうな印象だ。

母の繁殖牝馬としてのポテンシャルが分からないが、母の良さを引き出すキングカメハメハならまったく走らないとは考えづらい。多少のリスク承知でも未知の魅力に賭けてみたくなる1頭。


36. ピースエンブレムの22

募集価格2400万円 牝 宮田厩舎 ノーザンF生産 4/25生まれ
体高156.0cm 胸囲169.5cm 管囲20.3cm 体重414kg
父フィエールマン 母父ウォーエンブレム

母がOur Emblem≒ヘクタープロテクター 2×2という強烈な父母相似配合。母の遺伝力が強く、産駒は体質の弱い馬が多い。配合云々よりも繫殖牝馬のポテンシャルに課題があり、見送り。


37. ピンクアリエスの22

募集価格2400万円 牝 中川厩舎 ノーザンF生産 1/30生まれ
体高153.5cm 胸囲174.0cm 管囲19.5cm 体重438kg
父アルアイン 母父キングカメハメハ

母の産駒は父ディープインパクト系と相性が良く、メサルティム、ラスハンメル、クロウエアが活躍。牡馬は気性の難しさから去勢される馬が多く、牝馬の方が比較的安定して結果を残している。本馬も堅実に走ってくる可能性はありそう。

懸念点として、Great Above ≒Dr.Fager 4×5でダート的なパワーが強く出ないか、繁殖牝馬のポテンシャルはどうか、ノーザンFの意向が微妙な中川厩舎はどうか、と多々ある。種牡馬アルアインの成功配合・ポテンシャルも分からず、危機回避的な見送り。


38. ダイワオンディーヌの22

募集価格1800万円 牝 高橋文厩舎 隆栄牧場生産 3/25生まれ
体高161.0cm 胸囲181.5cm 管囲20.6cm 体重465kg
父スワーヴリチャード 母クロフネ

スワーヴリチャード産駒で結果を残している配合パターンである、Northern Dancerの濃いクロス、ナスペリオンの血を持つ。ただ、トニービンのクロスを持つ牝馬は良くない。早期から活躍するスワーヴリチャード産駒、それでなんとか勝ち上がれれば…。


39. サンブルエミューズの22

募集価格6000万円 牝 栗田徹厩舎 ノーザンF生産 3/24生まれ
体高150.0cm 胸囲172.0cm 管囲18.8cm 体重410kg
父ブリックスアンドモルタル 母父ダイワメジャー

どんな種牡馬でもOP馬を輩出する優秀な繫殖牝馬。母がノーザンテースト≒Vice Regent 3×4というパワー型のため、中長距離種牡馬と相性が良いのだろう。
本馬はStorm Bird≒ノーザンテースト 4・4×4とパワーを増幅した血統構成。ブリックスアンドモルタル産駒は母がNorthern Dancer非クロスの方がベターで、半兄姉と比べると配合的な良さでは明らかに劣る。

ブリックスアンドモルタル産駒はAureoleの揉まれ弱さを強く伝え、小柄な牝馬だとより顕著に出てしまいそう。堅実に走る保険付きであっても募集価格6000万円は明らかに割高。


40. ケアレスウィスパーの22

募集価格3200万円 牡 中館厩舎 ノーザンF生産 3/10生まれ
体高160.0cm 胸囲184.5cm 管囲21.6cm 体重502kg
父マインドユアビスケッツ 母父フジキセキ

フジキセキの血を持つマインドユアビスケッツ産駒は全3頭勝ち上がり。大きな活躍はないものの、Deputy Minister×フジキセキのニックス配合なら今後大きな活躍があっても不思議ではない。また、マインドユアビスケッツがDeputy Minister 3×4と濃いクロスを持つため、母父が非Northern Dancerのというのも良い。

ただ、Deputy Ministerとクラフティワイフ牝系の相性が良いのは、フレンチデピュティ≒エヴリウィスパーが要因であり、フレンチデピュティを経由しないDeputy Ministerの血を持つ馬は半兄スペクトログラム・フェズカズマが活躍している程度とイマイチ。
大物感に課題が残り、母も高齢になり産駒の活力がなくなった今では手を出しにくい。


41. アンフィトリテの22

募集価格2600万円 牝 西田厩舎 ノーザンF生産 2/19生まれ
体高153.0cm 胸囲167.5cm 管囲19.0cm 体重404kg
父ミッキーアイル 母父ロードカナロア

フジキセキの血を持つミッキーアイル産駒牝馬はララクリスティーヌ、ピンハイが活躍している。ミッキーアイル産駒はHalo、Sir Ivorの血が重要で、本馬にはその血はなくともロードカナロアがナスキロの柔らかい血を持つので、方向性としては良さそうだ。

「3/4Northern Dancer、1/4異系」という綺麗な血統構成ではあるものの、短距離×短距離×短距離の配合で走りが淡泊になることが懸念され、上級条件で頭打ちの可能性が高そう。
小柄な初仔の牝馬というのもマイナス。手が出ない。


42. エディスワートンの22

募集価格3200万円 牡 黒岩厩舎 ノーザンF生産 2/1生まれ
体高158.0cm 胸囲179.5cm 管囲20.5cm 体重453kg
父リアルスティール 母父Dubawi

Darshaanの血を持つリアルスティール産駒は2/4頭勝ち上がり、フェイト、フライヤートゥルーと共に新馬戦を勝利している。これに関して、血統評論家・望田氏は「リアルスティール産駒はしなやか重厚欧州系と合う」と主張している。
本馬はそこにAlzao≒Shareef Dancer≒Dancing BraveとSir Ivor≒Droneの柔らかい血を多くいじっており、リアルスティール産駒特有のRibot肩を改善させる方向性にしている点は非常に好感が持てる。

あとは、母エディスワートンの繫殖牝馬としてのポテンシャルだけ。3代母Hellenicは英セントレジャー2着、祖母Islingtonはヨークシャーオークス勝ち。母はDubawi×Sadler’s Wells×Darshaanとかなり重厚な血統構成。リアルスティール産駒はNureyev≒Sadler’s Wellsを持つとスタミナ型に出やすいだけにスピード不足が懸念される。

黒岩厩舎はキャロットFと相性が抜群。転厩馬を除き、6/7頭勝ち上がり。シーズンズギフト、パッシングスルーが活躍している。勝ち上がるチャンスはあっても大物になるかは…。


43. ココシュニックの22

募集価格2400万円 牝 稲垣厩舎 ノーザンF生産 3/2生まれ
体高156.0cm 胸囲178.0cm 管囲19.8cm 体重429kg
父アドマイヤマーズ 母父クロフネ

母は堅実に勝ち上がる優秀な繁殖牝馬ではあるが、ディープインパクト産駒を除くとスケール感ではイマイチ。アドマイヤマーズの締める血をいじらない点では好感に思えるが、特段強調できる材料がなく、成功配合が分からない以上は敬遠。


44. ヴィータアレグリアの22

募集価格3200万円 牡 高柳瑞厩舎 ノーザンF生産 4/2生まれ
体高156.0cm 胸囲174.5cm 管囲20.1cm 体重438kg
父ゴールドドリーム 母父ネオユニヴァース

祖母カクタスペアがTerlingua≒Secrettame 4×3を持ち、ボルキロを継続クロスした血統構成。ゴールドアリュール×ナスキロの柔らかい血を増幅した配合で、大箱ダートが主戦場になりそう。関東馬で東京ダートが使える点は大きなプラス。

筆者としては、ゴールドアリュール後継種牡馬はRoberto×Mr.Prospector×Nureyevを狙った配合が良いと思っており、そういう観点では特段配合的に強調材料はない。敬遠。


45. フェルミオンの22

募集価格2600万円 牡 新規開業厩舎 ノーザンF生産 4/24生まれ
体高154.5cm 胸囲168.0cm 管囲20.5cm 体重421kg
父シュヴァルグラン 母父アグネスタキオン

母フェルミオンはRaja Baba 4×4、祖母パテントリークリアはTom Fool 4×4と機動力が持ち味。そこにサンデーサイレンスを経由したHalo≒Red God 4・5・6・6×4を持たせた、小脚の効いた走りが強調された血統構成。それを強く伝えることから、産駒は6/8頭勝ち上がりと堅実に走る。

母フェルミオンの産駒で大物になった2頭の血統から、Hopespringseternalの血をいじる「ナスキロ+Tom Fool」の血が重要だと推測される。これがない点で強くは推せない。

関東の新規開業厩舎だと矢嶋大樹厩舎になると想定。手塚厩舎の調教助手として結果を出してきた方だ。ノーザンFの意向としては微妙も特段悪い印象もない。募集価格越えが目標になりそうだ。


46. ヴィアンローズの22

募集価格3000万円 牡 嘉藤厩舎 ノーザンF生産 4/24生まれ
体高153.0cm 胸囲167.0cm 管囲20.5cm 体重413kg
父シルバーステート 母父Sevres Rose

母ヴィアンローズはCaerleon+Kaldoun+Rivermanというフレンチな斬れを強く伝える優秀な繫殖牝馬。Caerleonの血を持つシルバーステート産駒牡馬は5/6頭勝ち上がり、リカンカブールが活躍している。

ただ、リカンカブール含めて、シルバーステート産駒の大物になるためには「Northern Dancer+Special」やBlushing Groomの血が重要。本馬にはどちらの血もない点は気掛かり。大物感で課題が残る。

嘉藤厩舎は開業して間もないながらも、転厩してきた馬が突然走るようになったり、ノルマンディーOCで結果を残したりと、馬に恵まれれば今後活躍してもおかしくないと思える。本馬の半兄姉はノーザンFの意向に関係なく走るので嘉藤厩舎でも問題なさそう。
母の産駒はなぜかキャロット募集の時だけ走るという謎の馬。当たったらラッキーくらいな気持ちなら。


47. スペクトロライトの22

募集価格3600万円 牡 和田郎厩舎 ノーザンF生産 1/21生まれ
体高155.0cm 胸囲172.5cm 管囲19.7cm 体重436kg

父ヘニーヒューズ 母父ディープインパクト

祖母がドイツ血統であることから牡馬に出たのは大きなプラス。祖母バランセラの系統は牡馬に限れば、4/6頭勝ち上がり、1頭当賞金約3700万円。半兄ライトウォーリア、ワンダフルタウン、ホウオウサーベルが活躍している。すべて違う母の産駒であることから、潜在的なポテンシャルは高い。

懸念点としては、米国ダート血統×ドイツ牝系は半兄ライトウォーリア、ノーブルジュエリーくらいしか活躍しているイメージがないのがどうか。半兄ライトウォーリアが活躍しているので配合云々の話ではないかもしれないが、個人的には好みではない。血統派としては推しづらく、敬遠。


48. ローズノーブルの22

募集価格4000万円 牡 武井厩舎 ノーザンF生産 3/13生まれ
体高150.0cm 胸囲170.5cm 管囲20.5cm 体重448kg
父リオンディーズ 母父ディープインパクト

リオンディーズは父母相似配合でNureyev≒Sadler’s Wells 4×3を持つことから、シーザリオのHabitatをいじるような柔らかい血を入れることが重要で、Northern Dancerが薄い繫殖牝馬の方がベターだ。
母ローズノーブルの産駒は、祖母ヴィアンローズのフレンチ斬れを強く伝える傾向にあり、父Kingmambo系全3頭が勝ち上がっている。締める血が強いリオンディーズといかにも合いそうだ。

好配合馬とまでは言えないものの、「締める血が多い父×緩い血が多い母」と配合の方向性はバッチリ。割高感は否めないが、ヒット~ホームランまで狙えそうな1頭。


49. Eutheniaの22

募集価格5000万円 牡 木村厩舎 外国生産 2/7生まれ
体高158.0cm 胸囲181.0cm 管囲21.5cm 体重495kg
父Blue Point 母父Winker Watson

2022 Goffs November Foal Sale当歳にて20万ユーロで落札。
種牡馬Blue Pointは現2歳馬が初年度産駒。現時点でヨーロッパの新種牡馬リーディング1位。2歳馬リーディング4位/勝利数では1位。Big EvsがモールコームS(英GⅢ・芝5f)を勝利しており、今後期待される新種牡馬の1頭だ。
父Blue PointはキングススタンドS・ダイヤモンドジュビリーSなど短距離G1 4勝を挙げている。Shamardal×Royal Applauseと日本でも馴染みのある血統構成。母父Winker Watsonは2歳の短距離GⅡ2勝と結果を残しているウォーニング系とまさに短距離スピード血統だ。

本馬はLea Lark~Autocraticという名門の牝系。母方にRiverman、Darshaan、Princely Giftとフレンチ斬れを持つため、淡泊なスピード型ではないのは魅力的。Darshaanの血を持つスプリンターの活躍馬には、ファインニードル、タワーオブロンドン、サニングデールがおり、まさにキレる短距離馬のイメージ。血統的には日本の馬場に合いそう。

また、木村厩舎=ルメール騎手が騎乗する可能性が高いのは非常に好感。フランス血統を多く持つ外国産馬となればまさにルメール騎手が適任。ちなみに、母方にDarshaanの血を持つ馬にルメール騎手が騎乗した時が[25-12-9-44]と群を抜いて走る。

外国産馬・持込馬に対して贔屓目に見てしまう筆者。Blue Point産駒ってだけで欲しくなる。好配合馬というわけではなく、走る確信がないのにこの募集価格は悩ましい。正直走っても驚けない。


50. シェイリーンⅡの22

募集価格3600万円 牡 尾関厩舎 パカパカF生産 1/10生まれ

体高152.5cm 胸囲177.0cm 管囲20.6cm 体重478kg
父Saxon Warrior 母父Rip Van Winkle

セレクトセール2022当歳にて2200万円で落札。
Galileo 3×3を経由するSadler’s Wells≒Nureyev 4×4・5と重厚すぎる血統構成。Saxon Warrior産駒牡馬は欧州型スタミナが強く出るため、母方にスピードを入れないと厳しい。見送り。


つづく