【血統考察】関東馬No.16~30 キャロットクラブ 2023年度募集

16. レッドレグナントの22

募集価格3200万円 牝 大竹厩舎 ノーザンF生産 1/31生まれ
体高150.0cm 胸囲176.0cm 管囲19.5cm 体重444kg
父モーリス 母父ロードカナロア

今年度のキャロット募集に父モーリス×ゴールドティアラ牝系の配合が2頭(募集リスト時3頭)おり、明らかに狙っていることからまずはその考察をしたい。
と思って色々と調べたが、Chief’s Crownの血しか根拠が見つからず。Chief’s Crownの血を持つモーリス産駒は6/12頭勝ち上がり、シゲルピンクルビー、ルークズネスト、インフィナイトなどが活躍。ノーザンF生産馬に限ると、4/5頭勝ち上がり、1頭当賞金は約3700万円にもなる。唯一の未勝利馬はディオファントス(涙)。


本馬はノーザンテースト≒Vice Regent 5×6を持ち、母がEight Thirty≒War Relic≒Good Exampleの北米パワー増幅となると、ダートに出る可能性がありそう。
モーリス産駒の牝馬は見送る方針で。


17. ルヴォワールの22

募集価格4000万円 牝 手塚厩舎 ノーザンF生産 1/10生まれ
体高157.0cm 胸囲174.5cm 管囲20.0cm 体重451kg
父レイデオロ 母父ハーツクライ

祖母リュヌドールは2000m~2500m重賞で活躍した仏G1馬で、持ち味であるフランスの斬れと重厚なスタミナを強く出す傾向にある。デビューした産駒はそのポテンシャルと持ち味から全6頭勝ち上がっている。それとともに連戦できない虚弱体質が課題だった。

レイデオロ産駒はNashua≒Nantallahのパワーを伝える傾向にあるため、牝馬ならその血をいじらずにスピードやキレる末脚を増幅させたいところ。本馬はまさにフレンチ斬れを強く伝えそうで好感が持てる。また、レイデオロ産駒は気性が難しく、生産・厩舎・騎手を選びそうなだけに、額面上のプロフィールが良いのも安心できる。レイデオロ・フレンチ斬れとなればルメール騎手に是非とも乗ってほしい。手塚厩舎ならそれが叶うだろう。

あとは虚弱体質がどの程度引き継がれるか。それを考えても答えは出ないので、そのリスク承知であれば出資したい1頭。


18. リラヴァティの22

募集価格4000万円 牝 新規開業厩舎 ノーザンF生産 2/1生まれ
体高158.0cm 胸囲179.0cm 管囲19.5cm 体重463kg
父レイデオロ 母父ゼンノロブロイ

Nureyev≒Sadler’s Wells 5×5、Seeking the Gold≒マイニング 4×4、Tri Argo≒I Pass 5×5という配合。Sadler’s Wellsの血・ゼンノロブロイの血を持つ父キングカメハメハ系はともに牡馬>牝馬の傾向が強い。これはNureyev≒Sadler’s Wells、Kingmambo≒Majestic Princeによりパワー型になり、牝馬特有のキレが削がれる方向性になることが要因と考える。レイデオロ産駒の牡馬はNashua≒Nantallahのパワーを伝える傾向にあるだけに、牝馬はその血をいじらない方が良いだろう。

シンハリーズ牝系は牡馬<牝馬の傾向が強く、Sadler’s Wellsの血を持つ父キングカメハメハ系牝馬でも総賞金上位馬であるアヌラーダプラが活躍している。基本的に牝馬は堅実に走るので、あとはどれだけ大物になれるか。本馬は上記で示した通り、明らかにパワーを増幅した配合であるため、アヌラーダプラと同様にシンハリーズのキレが使えるかは微妙なところ。馬体派の方、牧場見学ツアーに行かれる方は「パワーが勝っているか」を確認した方が良いだろう。

関東の新規開業厩舎だと森一誠厩舎になると想定。今後活躍が期待される厩舎ではあるものの、やはり気性難のレイデオロ産駒は気になるところ。騎手起用の方針も未知。
未知な部分で魅力よりも懸念点が多いような印象。勝ち上がるチャンスは十分あっても募集価格を見てしまうと敬遠。


19. ベルディーヴァの22

募集価格3600万円 牝 奥村武厩舎 ノーザンF生産 4/7生まれ
体高153.0cm 胸囲175.0cm 管囲19.2cm 体重427kg
父レイデオロ 母父ダイワメジャー

祖母ハルーワソングはSingspielと3/4同血となる良血で優秀な繁殖牝馬。祖母になってもその存在は大きく、ハルーワスウィート・サルスエラ・ラスティングソングと優秀な繁殖牝馬を輩出している。特に母が若い時の産駒の成績が抜群。そろそろ母ベルディーヴァの産駒から活躍馬が出ても不思議ではない。

本馬は、Nureyev 5×3を持つレイデオロ産駒、母父ダイワメジャーとパワー寄りの配合にはなるが、牝系のスピード能力を生かして好位抜け出しができる血統構成。母も短距離馬であって、キレで勝負しないのでパワー寄りに出ても問題ない。

奥村武厩舎は勝利数・獲得賞金を毎年上げてきており、現在リーディング18位。ノーザンFの意向では最上位厩舎ではないながら堅実に結果を残しており、特にキャロットFでは5/9頭勝ち上がり(全5頭3勝以上)、1頭当賞金約3200万円と非常に優秀。不安点を挙げれば騎手起用が地味で、気性の難しいレイデオロ産駒を乗りこなせるか。

種牡馬・母の繁殖牝馬としてのポテンシャルに不安に思われる方が多いが、血統的なポテンシャルだけ見れば大いに期待したくなるほど。本馬が走ったら結構嬉しかったりする。


20. エールデュレーヴの22

募集価格3600万円 牝 栗田徹厩舎 ノーザンF生産 4/21生まれ
体高151.0cm 胸囲171.5cm 管囲19.2cm 体重413kg
父レイデオロ 母父ディープインパクト

母エールデュレーヴはディープインパクト×レーヴディマンというSir Gaylordの柔らかい血が強調された配合でいかにも緩さを伝えそうな血統構成。母が異母同血であるヴェールアンレーヴ(父リオンディーズ)のように締める血をしっかり持つ配合が良さそうだ。レイデオロ産駒はKingmambo×Robertoのパワーが勝っている馬が多く、牝馬はできるだけいじらない方が良さそうで、本馬はディープインパクトのキレをしっかりと伝えそうな血統構成だ。

あとはどこまで緩さを出すか。種牡馬レイデオロは締める血が多いわけではなく、この牝系は代を重ねると緩さを出して走らない傾向が強くなる。個人的には好みではなく、危機回避な意味で敬遠。


21. トーコーユズキの22

募集価格4000万円 牡 萩原厩舎 辻牧場生産 4/24生まれ
体高154.5cm 胸囲174.0cm 管囲21.3cm 体重451kg
父ナダル 母父ディープインパクト

北海道セレクションセール2023 1歳にて3300万円で落札。
本馬の4代母Aces SwingingがRaise a Nativeの全姉になるため、Raise a Native=Aces Swinging全姉弟クロスが重要。母トーコーユズキの産駒が堅実に走るのは上記の血を持っていることが要因で、牡馬に限れば全4頭勝ち上がり、1頭当賞金約2300万円になる。叔父アドマイヤスコールが活躍したのも同様の要因だろう。本馬はRaise a Native=Aces Swinging 6・6・7×4としっかり継続クロスしている。

あとはどこまで大物感になるか。血統構成からも他に強調材料がなく、募集価格越えが大目標になってしまいそうな印象。割高感は否めない。


22. グリューヴァインの22

募集価格2400万円 牝 矢野英厩舎 ノーザンF生産 3/20生まれ
体高154.5cm 胸囲174.0cm 管囲21.3cm 体重451kg
父ナダル 母父ゴールドアリュール

Kris S. 4×4、Seattle Slew 5×6、Nijinsky 5・7×6、Bound≒Nureyev 4×4という父母相似配合で、Roberto×Mr.Prospector×Nureyevを増幅させたダート黄金配合。ただ、この配合は牡馬>牝馬の傾向が強いこと、本馬の牝系が芝向きであることから、良い印象を持たない。繫殖牝馬のポテンシャルも疑問で見送り。


23. ディアデラマドレの22

募集価格5000万円 牝 宮田厩舎 ノーザンF生産 3/10生まれ
体高155.5cm 胸囲178.0cm 管囲20.8cm 体重477kg
父ドレフォン 母父キングカメハメハ

父ドレフォン×母父キングカメハメハ×母母父SSは6/13頭勝ち上がり。ノーザンF生産馬に限れば、4/6頭勝ち上がり、1頭当賞金5300万円。ジオグリフ、デシエルトなどが活躍している。走っている馬の共通点として、母・祖母が重賞活躍馬というのは見逃せない。

懸念点として、ノーザンテーストの血がないことや牝馬だとあまり良い結果が出ていないことが挙げられ、データ的にはドレフォン産駒牝馬は米国のスピードの血やナスキロの血を入れた方が良い。母の良さを引き出すドレフォン産駒なので配合的には大丈夫と見ているが、種牡馬ドレフォンがコルトサイアーである点で影響が無きにしも非ず。

血統構成から普通に走ってもおかしくなさそうだが、これだけの高額馬だと不安要素が拭えず、手を出しにくい。アワブラ入りすれば面白そうな1頭だが…。


24. マスターワークの22

募集価格2400万円 牝 勢司厩舎 社台コーポレーション白老F生産 4/20生まれ
体高154.5cm 胸囲177.5cm 管囲19.7cm 体重444kg
父ドレフォン 母父ダイワメジャー

父ドレフォン×母父ダイワメジャーは現2歳馬を除き、7/9頭勝ち上がり。牝馬は1頭だけだが勝ち上がっている。牝系はコテコテの欧州型スタミナ血統で、ダートでの活躍に疑問が残るし、ダート馬ならドレフォン産駒牝馬は米国のスピードの血やナスキロの血を入れた方が良い印象だ。下級条件で頭打ちの可能性が高く、手が出ない。


25. カーミングエフェクトの22

募集価格3200万円 牡 小島茂厩舎 ノーザンF生産 2/1生まれ
体高158.0cm 胸囲176.5cm 管囲21.4cm 体重495kg
父サトノダイヤモンド 母父War Front

Bonita Francita≒Coup de Folie 3/4同血クロス4×6、Danzig 5×3とサトノダイヤモンドの欧州的なパワーを増幅した配合。サトノダイヤモンド産駒はナスキロの柔らかい血やAlzaoいじりが必要。本馬にはそういった血がない点でマイナス。
また、Bonita Francita≒Coup de FolieなどOrpenの血をいじった配合も結果が出ていない。血統的には米国的なスピードが強調されている点でスピード負けはしなさそうだが。
ノーザンFの意向も微妙で見送り。


26. キャヴァルドレの22

募集価格3000万円 牝 蛯名正厩舎 ノーザンF生産 1/30生まれ
体高159.5cm 胸囲175.0cm 管囲20.3cm 体重451kg
父サトノダイヤモンド 母父Sunday Break

ディープインパクト×Pacific Princessのニックス配合をどう解釈するかで大きく評価が分かれる馬。この有名なニックス配合は、キズナ、モンドインテロ、ラストインパクト、セダブリランテス、ゼーヴィントと活躍馬がズラリ。社台系生産に限れば、8/10頭勝ち上がり、1頭当賞金約1億1500万円になる。

ただ、筆者の見解としてはかなり悲観的に見ている。この配合の鍵となるニアリークロスは牝馬ではまったく結果が出ない。また、本馬の牝系はPacific Princess牝系ではなく、Pacific Princess牝系以外の形ではまったく結果が出ていない。

本馬の血統構成においても、Sadler’s Wellsの血を持ち、牝系がフランスのスタミナ血統と重厚でもあり、サトノダイヤモンド産駒とも相性が良くない。ディープインパクト×Pacific Princessを信じる方はどうぞご自由に。


27. マイミスリリーの22

募集価格3200万円 牝 加藤征厩舎 レイクヴィラF生産 2/28生まれ
体高155.0cm 胸囲184.0cm 管囲21.0cm 体重484kg
父サトノダイヤモンド 母父Tapit

母がWeekend Surprise≒Terlingua≒Secrettame≒Drone 4×5・5・5というナスキロ+Tom Foolの血を凝縮した血統構成。ディープインパクトのAlzaoいじり+スピード補完がされており、サトノダイヤモンド産駒と相性が良さそう配合だ。母父Tapitの牝馬、Harlan's Holidayの血と、コテコテの米国血統でありながら芝でも勝負できそうな点は魅力。
半姉バロンはセレクトセール7920万円で落札、コントレイル産駒の3/4同血半妹は確実に高額落札馬になる。母の繁殖牝馬としてのポテンシャルに大いに期待したくなるところ。

それだけに加藤征厩舎というのは少し残念。加藤征厩舎は昔に比べるとノーザンFの意向が下がり、近年ノーザンF関連クラブ馬では地味な活躍しかできていない。「姉妹と比べると、そこまで期待されてないのね…」と正直思ってしまった。加藤征厩舎と言えば東京D1400~1600mでとにかく走るので、ダート替わりで活躍しても。
加藤征厩舎自体は良いので、現実をしっかり見て、一口馬主を楽しめたらいいなくらいな気持ちで。


28. ワシントンレガシーの22

募集価格3000万円 牡 戸田厩舎 ノーザンF生産 2/9生まれ
体高157.0cm 胸囲180.0cm 管囲21.4cm 体重474kg
父ルヴァンスレーヴ 母父クロフネ

祖母フロールデセレッソはAmbehaving≒クリアアンバーを持ち、このクロスを持つ繁殖牝馬は勝ち上がり率が非常に優秀。それは祖母になっても健在のようで、半姉ハリケーンリッジも小柄な牝馬ながら堅実に走っているし、レガシーオブエリザは先日の新馬戦で僅差の2着。

シンボリクリスエス×Deputy Ministerは相性が良く、特に牡馬ではサクセスブロッケン、サトノティターン、マチカネニホンバレなどが活躍しており、勝ち上がり率も上々。また、ネオユニヴァース×エンドスウィープがニックス配合という点でも相性が良さそうだ。

と、血統的に期待したいところだったが、厩舎を見て正直残念に思った。戸田厩舎はノーザンFの意向が微妙になり、近年ノーザンF関連クラブ馬ではまったく結果が出ていない。
母の産駒の厩舎がノーザンFの意向が微妙なところばかりなので、すごく前向きに捉えて「逆にそういう見栄えのしない馬なのか!?」と思ってみたり。堅実に走れる保険があるので、勝ち上がって半姉のようにコツコツ走ってくれれば…。


29. セレナズヴォイスの22

募集価格2400万円 牝 林厩舎 社台コーポレーション白老F生産 2/8生まれ
体高155.0cm 胸囲174.0cm 管囲19.0cm 体重457kg
父ルヴァンスレーヴ 母父Honor Code

種牡馬ルヴァンスレーヴの成功配合が分からず、相性の良い血があるわけではない。ただ、シンボリクリスエス×Alybelle牝系はサトノティターン&マチカネニホンバレが活躍しており、母父Honor Codeの良血・祖母ザガールインザットソングのポテンシャルを考えればダートの大物になってもおかしくない血統構成。

それだけに牝馬なのがとにかく残念。父シンボリクリスエス系のダート牝馬はかなり率が悪い。ノーザンFクラブ馬と相性が非常に良い林厩舎なら、東京ダートを主戦場にコツコツ走ってくれないだろうか。

分散が大きく期待値も読めない。ギャンブルしても良いくらいの募集価格なのも悩ましい。父シンボリクリスエス系のダート牝馬でも走ると思える方は出資検討してみても。


30. フォルテピアノの22

募集価格2000万円 牝 大和田厩舎 ノーザンF生産 2/11生まれ
体高153.0cm 胸囲176.5cm 管囲19.3cm 体重434kg
父ルヴァンスレーヴ 母父フレンチデピュティ

母がキョウエイフォルテとフレンチデピュティのニアリークロスという強烈な父母相似配合で、緊張→緩和の形が綺麗な配合。シンボリクリスエス×Deputy Ministerの相性も良い。それだけにダート牝馬というのは残念。母の繁殖牝馬としてのポテンシャルから大物感はなく、母も高齢で活力もない。手頃な募集価格ではあるが、手を出しづらい。


つづく