【血統考察】関西馬No.61~77 シルクホースクラブ 2023年度募集

61. シーヴの22

募集価格 4000万円 牝 安田翔厩舎 ノーザンF生産 2/12生まれ
体高155.0cm 胸囲176.0cm 管囲19.8cm 体重418kg(6月下旬時点)
父リアルスティール 母父Mineshaft

リアルスティール産駒は柔らかい血を入れることが重要で、フランスの欧州的な伸びを増幅した方がベター。本馬にはそのような血がなく、母はコテコテの米国血統でダートに出てしまう可能性までありそう。

半兄3頭はセレクトセール億越えの期待馬だったが、結局活躍できておらず。繁殖牝馬としてのポテンシャルにも疑問が残る。見送り。


62. キープシークレットの22

募集価格 2800万円 牝 高柳大厩舎 ノーザンF生産 2/24生まれ
体高152.5cm 胸囲172.5cm 管囲20.0cm 体重438kg(6月下旬時点)
父ブリックスアンドモルタル 母父ダイワメジャー

Storm Bird≒ノーザンテースト4・4×4を持ち、Northern Dancerの濃いクロスを持つ父母相似配合。ブリックスアンドモルタル産駒の配合としては良くないし、牝系からのスピード補完にも大きく欠ける。母父ダイワメジャーは父米国血統と相性が良いが…。
走ったらごめんなさい。


63. アドマイヤアローの22

募集価格 3000万円 牡 渡辺厩舎 ノーザンF生産 2/23生まれ
体高153.0cm 胸囲171.0cm 管囲21.4cm 体重416kg(6月下旬時点)
父ヘニーヒューズ 母父ワークフォース

3代母アドマイヤラピスはHyperionの粘り強さを凝縮した血統構成で、牝系はこの底力・スタミナを強く伝える。そのため、以下の通り、牡馬>牝馬の傾向が圧倒的に強い。
 牡馬:21/36頭勝ち上がり、1頭当賞金約4700万円
 牝馬: 5/31頭勝ち上がり、1頭当賞金約500万円弱

これだけHyperionの影響力が大きいだけに、アドマイヤラピスの牝系は父米国血統と相性が良い。牡馬に限ると4/5頭勝ち上がり、アドマイヤデウス、アドマイヤダンク、アドマイヤホープが活躍しており、1頭当賞金は約1億円弱にもなる。

本馬は母父ワークフォースもスタミナとパワーに秀でているだけに、父がスピード米国血統にして、「1/2米国、1/2欧州」に揺り戻したのも好感。Kingmambo×Sadler’s Wellsの血を持つヘニーヒューズ産駒にはペリエールやセキフウなどが活躍している点も見逃せない。昔はこういう配合にはクロフネが絶好だっただけに、ヘニーヒューズはいかにもそれを狙ってきた印象を持つ。

また、Be My Guestの血を持つヘニーヒューズ産駒牡馬は4/5頭勝ち上がり、1頭当賞金3900万円になる。スマッシングハーツ、スペクタクルが活躍しており、堅実性でも担保できている点も好感。

現状で馬体が少し小さめなのが心配。成長してくれて米国型のスピードをしっかり伝っていれば大物になってもおかしくない。ヒット~ホームランまで狙えるオススメの1頭。


64. モアナの22

募集価格 3200万円 牡 奥村豊厩舎 ノーザンF生産 3/11生まれ
体高153.0cm 胸囲172.0cm 管囲21.0cm 体重425kg(6月下旬時点)
父ミッキーアイル 母父キンシャサノキセキ

ミッキーアイル産駒で重要なHaloの血を母方に持つ本馬。Devil’s Bagの血を持つミッキーアイル産駒にはデュアリストが活躍している。また、フジキセキの血を持つミッキーアイル産駒はララクリスティーヌ、ピンハイが活躍している。ともに勝ち上がり率は高くない点が課題ではあるが、ミッキーアイル産駒の本賞金3位・6位・7位と一発狙える配合パターンだ。

大きな懸念点は牡馬であること。種牡馬ミッキーアイルは典型的なフィリーサイアーで、牡馬はダート的なパワーを強く伝える。しかし、本馬の牝系は圧倒的に芝で走るため、芝ダートで適性が相反しそうな印象を持つ。もちろんミッキーアイル産駒牡馬はそれでもダートで走る馬がいたりするのだが、その例外を狙うのはあまりにも期待値が低い。

P.S.
父コントレイルの半弟がセレクトセール2023当歳にて1億7000万で落札された。
繫殖牝馬のポテンシャルは実は高いのか!?


65. プチノワールの22

募集価格 4000万円 牡 斉藤崇厩舎 ノーザンF生産 4/16生まれ
体高155.0cm 胸囲167.0cm 管囲20.7cm 体重390kg(6月下旬時点)
父サトノダイヤモンド 母父Singpiel

Devil's Bag=Glorious Song全姉弟クロス5×3、Bonita Francita≒Coup de Folie 3/4同血クロス4×4といかにも狙った配合。ただ、残念ながら現在いずれの配合も勝ち上がった馬はいない。サトノダイヤモンド産駒はスタミナ色が強く、柔らかいナスキロの血や米国的なスピードを入れる必要があるのだが、これらのクロスは欧州的なパワーを増幅しているのが影響しているのだろう。
本馬の母もスタミナ色が強く、ディープインパクトのキレが伝わらない可能性が高い。見送り。


66. ジャポニカーラの22

募集価格 2500万円 牝 杉山佳厩舎 ノーザンF生産 1/24生まれ
体高157.0cm 胸囲170.5cm 管囲19.1cm 体重407kg(6月下旬時点)
父サトノダイヤモンド 母父ジャングルポケット

スピード色の強いラスティックベル牝系なのは好感ではあるが、柔らかいナスキロの血がない。また、母ジャポニカーラが重馬場や芝2600mで勝利しており、スタミナとパワーの要素も強く、スタミナ色が強いサトノダイヤモンド産駒と合わなそうだ。
配合的には買える材料がなく、走ったらごめんなさい。


67. ギエムの22

募集価格 4000万円 牡 藤原英厩舎 ノーザンF生産 3/29生まれ
体高155.0cm 胸囲168.5cm 管囲20.3cm 体重416kg(6月下旬時点)
父アドマイヤマーズ 母父Medaglia d’Oro

母方にSir IvorやGone West(ナスキロ+Tom Fool)の血を持ち、アドマイヤマーズと相性が良い可能性がある。祖母は堅実に走るポテンシャルの高く、勝ち上がりは見込めそう。

ただ、Medaglia d’Oro を経由したSadler’s Wells 6×4が大きなマイナス。Medaglia d’Oro自体は母父として優秀なのだが、Sadler’s WellsをいじるとEl Pradoの良さである機動力がまったく伝わらず走らない。
例えば、El Pradoを経由してSpecialをクロスさせた活躍馬は、ブッシュガーデン、アルコレーヌくらい。Medaglia d’Oroの血ではディーエスプルーフ、半姉エヴィダンシアくらいだ。
勝ち上がる可能性は十分だが、ここで突然の大物とは考えづらい。見送り。


68. モルジアナの22

募集価格 4500万円 牡 新規開業厩舎 ノーザンF生産 2/22生まれ
体高152.5cm 胸囲170.5cm 管囲20.8cm 体重435kg(6月下旬時点)
父サートゥルナーリア 母父Dubawi

母モルジアナはZomaradah≒In the Wingsのニアリークロス2×3を持ち、パワーを強く伝える。そこにNureyev≒Sadler’s Wells 4・6×5とSpecialの締める血を継続クロスした父母相似配合。まだサートゥルナーリア産駒の成功配合は分からないが、配合のセオリーから言うと逆の方向性だ。
新規開業厩舎=福永厩舎だと走るんじゃないと気持ちになるのを抑えて、血統派として推せない。


69. マルーンエンブレムの22

募集価格 3000万円 牡 武英厩舎 社台コーポレーション白老F生産 2/3生まれ
体高151.5cm 胸囲174.0cm 管囲20.3cm 体重415kg(6月下旬時点)
父スワーヴリチャード 母父オルフェーヴル

祖母ブラックエンブレムがOur Emblem≒ヘクタープロテクター2×2と自己主張が強く競走能力を強く伝える。母マルーンエンブレムは緊張→緩和が非常に綺麗で、本馬はその緊張→緩和を継続させた好配合馬。父スワーヴリチャード×母父オルフェーヴルもすでに勝ち上がっており、相性も悪くないだろう。
初仔かつ母が小柄だっただけに、ここからどれだけ成長できるかが課題。そこさえ問題ないと思えれば、一口馬主を楽しめそうな1頭。


70. パールデューの22

募集価格 2800万円 牝 庄野厩舎 ノーザンF生産 2/12生まれ
体高150.0cm 胸囲170.5cm 管囲19.2cm 体重401kg(6月下旬時点)
父スワーヴリチャード 母父キングカメハメハ

母がNorthern Dancer 5・5・7×4・5と濃く、Northern Dancerの薄いスワーヴリチャード産駒と合いそう。特に母父キングカメハメハは良い。ただ、配合的にはハーツクライ≒アドマイヤベガ(SS×トニービンのクロス)とナスペリオンが強い”牝馬”という点が気掛かりだ。

祖母がTom Fool的な捌きを強く伝える影響から新馬戦が非常に強く、スワーヴリチャード産駒も2歳早期から活躍。新馬戦で口取り狙いができ、勝ち上がりは見込めそうだが。
ノーザンFの意向としても微妙で、期待値的には手が出ない。


71. モアザンセイクリッドの22

募集価格 3000万円 牝 小栗厩舎 ノーザンF生産 4/27生まれ
体高153.5cm 胸囲166.0cm 管囲19.0cm 体重364kg(6月下旬時点)
父レイデオロ 母父More Than Ready

母モアザンセイクリッドの産駒の傾向が難しい。3/4同血の半兄にはドゥレッツァが活躍しており、Caerleon×Princely Giftのフレンチ斬れが伝われば面白そうだが、More Than Readyの米国的なパワーとスピードが伝わるとどうか。レイデオロ自身がどちらも増幅できる血を持っているだけに、馬体派の方はどこが強く出ているかを見極めてほしい。
ノーザンFの意向としては微妙で小柄な牝馬。敬遠。


72. サダムグランジュテの22

募集価格 3000万円 牡 田中克厩舎 社台コーポレーション白老F生産 2/4生まれ

体高155.5cm 胸囲177.5cm 管囲20.0cm 体重422kg(6月下旬時点)
父ルヴェンスレーヴ 母父キングカメハメハ

種牡馬ルヴァンスレーヴは現1歳世代が初年度産駒となるため、成功配合が分からないものの、他のオータムブリーズ牝系の活躍馬の種牡馬がキングカメハメハ、ゴールドアリュール、フジキセキであることから、ダート配合の王道であるRoberto×Mr.Prospector×Nureyev、Eight Thirty≒War Relic≒Good Exampleを狙うのが良さそうだ。また、全体的にクロスの薄い配合であることから、Northern Dancerが濃い繁殖牝馬を入れて3/4 Northern Dancerの形にするのが良い。キングカメハメハはRoberto×Mr.Prospector×Nureyev、Sex Appeal≒プレイメイトとなる点からいかにも相性が良さそう。

本馬は父ルヴァンスレーヴ×母父キングカメハメハという注目の配合に加え、母方がスピードの血・Eight Thirtyの血を持ち、母がNorthern Dancer5・5・7×4と濃いクロスと、配合の肝をすべて押さえている好配合馬。

田中克厩舎は4年目にしてすでに結果を残す優秀な調教師。昨年が調教師リーディング36位、今年は現在27位。上位人気での勝利率が優秀で、特に1番人気での勝利率55%は現役1位。口取りチャンスでしっかり勝つという点では嬉しい。ノーザンFとの関係は薄いものの、これだけ優秀な成績で矢作調教師が義父ともなれば預託する馬の質が向上するのは間違いない。てか、もうすでに注目されている。
牝系のスケール感だけが問題でそれ以外は走る条件が揃った印象。一口馬主を楽しむのなら出資してみたくなる1頭。


73. ルシルクの22

募集価格 2400万円 牝 杉山晴厩舎 社台コーポレーション白老F生産 4/17生まれ
体高151.0cm 胸囲173.5cm 管囲19.3cm 体重389kg(6月下旬時点)
父フィエールマン 母父Dynaformer

母父Dynaformerはブライアンズタイムと7/8同血とパワーを強く伝える影響からか、母の産駒は牡馬>牝馬の傾向が強い。だからこそ、フレンチデピュティやBaldskiなどをいじって増幅させる必要があるという見解だ。
フィエールマン産駒とは合わなそうだし、社台コーポレーション白老F生産に移ってから結果が出ていない。見送り。


74. ジーナアイリスの22

募集価格 2000万円 牝 高橋忠厩舎 ノーザンF生産 2/8生まれ
体高149.5cm 胸囲175.5cm 管囲19.0cm 体重437kg(6月下旬時点)
父ニューイヤーズデイ 母父ゴールドアリュール

特段配合的に強調できる材料がなく、ダート牝馬に出る可能性が高い。
ノーザンFの意向としても良くなく、走ったらごめんなさい。


75. クローバーリーフの22

募集価格 2400万円 牡 吉岡厩舎 新冠橋本牧場生産 4/9生まれ
体高156.0cm 胸囲174.0cm 管囲22.0cm 体重437kg(6月下旬時点)
父ワールドエース 母父タニノギムレット

母がGraustark4・5×6を持ち、祖母がHyperionの多い血統構成であることからパワーを強く伝える繁殖牝馬。半兄姉がダートで活躍しているほどで、父ワールドエースと合わなそう。
ワールドエース産駒牡馬のノーザンF育成馬は堅実に走るし、牡馬の勝ち上がり率が高い牝系であることから、勝ち上がりくらいは狙えるか。期待値的に手が出ない。


76. ソーディヴァインの22

募集価格 2800万円 牡 野中厩舎 ノーザンF生産 3/25生まれ
体高156.0cm 胸囲177.5cm 管囲21.0cm 体重483kg(6月下旬時点)
父アジアエクスプレス 母父キンシャサノキセキ

フジキセキ×Deputy Minsterのニックス配合を持つものの、アジアエクスプレス×フジキセキの配合自体の勝ち上がり率は良くない。ノーザンF生産のアジアエクスプレス産駒牡馬は3/6頭勝ち上がり、キミワテル、タイゲンが活躍しており、一見良さそうに思えるが、そのうちに2頭は相性の良いDeputy Minsterクロス持ちだ。
ノーザンFの意向としても良くない。見送り。


77. パリスビキニの22

募集価格 5000万円 牝 斉藤崇厩舎 ノーザンF生産 3/18生まれ
体高151.0cm 胸囲173.0cm 管囲20.3cm 体重441kg(6月下旬時点)
父American Pharoah 母父Bernardini

祖母がNureyev≒Sadler’s Wells 2×2、Never Bend≒Bold Reason 4×4という強烈な父母相似配合。American Pharoahは全体的にクロスの薄い配合であるため、母の濃い血統構成と合っており、いかにも母の良さを引き出しそうだ。そういった理由もあり、American Pharoah産駒は母の競走能力に強く依存する。American Pharoah産駒の活躍馬のほとんどは母が米国重賞勝ち馬だ。

本馬の母は現役時代大きな活躍はない点でマイナス。3/4同血半兄が米GⅢ勝ち馬、母の産駒にはCCAオークス勝ち馬がいるが、それで大丈夫と言えるのだろうか。あとはBest in Show~Blush With Prideという名牝系のポテンシャルに期待するしか…。
ダート牝馬でこの募集価格では厳しいだろう。母のポテンシャルが高いと思える方はどうぞ。


以上
お疲れ様でした。