関東馬まとめ短評(No.1~25) キャロットクラブ 2022年度募集

昨年のまとめ短評が好評だったため今年も書いてみました。
思考の整理を目的としており、各馬の信憑性に差があります。参考程度に。
今年のキャロットクラブは厩舎に大きな変化があった印象でした。


1.ミリッサの21

募集価格5000万円 牡 高橋文厩舎 ノーザンF生産
父ロードカナロア 母父ダイワメジャー

ロードカナロア産駒と相性良いSadler’s Wellsの血を持つ。父ロードカナロア×母父ダイワメジャーはStorm Catとスカーレットブーケがニアリーな関係にあるため、パワーが強く出る。祖母シンハリーズの系譜は、牡馬はスタミナ/牝馬はキレを伝えるため、牡馬<牝馬の傾向が強いが、ロードカナロア×ダイワメジャーとパワー・スピードを補完している点では良さそうだ。
小柄だった母ミリッサの初仔ということで非常に小柄に出た点は、この配合において大きなマイナス。ノーザンFの意向としても微妙なだけに、募集価格も高く推せない。


2.ジョプリンの21

募集価格4000万円 牝 木村厩舎 レイクヴィラF生産
父ロードカナロア 母父Soldier Hollow

セレクトセール1歳 2750万円で落札。
母ジョプリンはSadler’s Wells 3×5を経由したSpecial=Lisadell全姉妹クロス5・5×7と、ロードカナロアと相性の良い締める血が満載な点では好感が持てる。しかし、Northern Dancer4・6・6×6・6と濃いクロスを持つことから綺麗な配合ではない。また、父母相似配合に近い血統構成から、母の競走能力に依存しそうで、それがイマイチな点でも課題が残る。
ロードカナロアは母の良さを引き出す種牡馬なだけにドイツ血統との相性があまり良くない点もどうか。


3.ヒルダズパッションの21

募集価格6000万円 牝 手塚厩舎 ノーザンF生産
父ロードカナロア 母父Canadian Frontier

本馬は、Mr.Prospector4×4、Nureyev≒Sadler’s Wells5×5・4、Secretariat=Syrian Sea≒Sir Gaylord 5・6×5・5、Mill Reef≒Full Out6×5という父母相似配合。母ヒルダズパッションはバレリーナS(米G1・D7.0f)勝ち馬で、繁殖レベルも高いことから大物感は十分。ただ、米国血統が強いだけにダートに出る可能性が高そう。
この募集価格でダート牝馬はさすがに酷だろう。アワブラ入りすれば面白そうな配合だが。


4.グリューネワルトの21

募集価格5000万円 牝 林厩舎 ノーザンF生産
父ロードカナロア 母父スペシャルウィーク

Nureyev≒Fairy King5×4、Storm Cat≒マルゼンスキー3×4、Never Bend≒Bold Reason7×5という父母相似配合。サートゥルナーリアと比べるのは申し訳ないが、父ロードカナロア×母父スペシャルウィーク×Sadler’s Wells(=Fairy King)の組み合わせだけでも堅実に走る。ただ、父母相似配合は母の競走能力に強く依存する点で大物感に欠ける。母・祖母ともに短距離で活躍した点も気になる材料だ。
林厩舎×ノーザンFクラブは堅実に走るだけに、赤字覚悟でも一口馬主を楽しみたいなら是非。


5.インクルードベティの21

募集価格7000万円 牡 堀厩舎 ノーザンF生産
父ハーツクライ 母父Include

セレクトセール1歳 5500万円で落札。
母インクルードベティはマザーグースS(米G1・D8.5f)勝ち馬。
本馬の魅力は、母父Includeが持つTurn to Talent≒Too Baldの3/4同血クロス3×4が種牡馬ハーツクライといかにも相性が良さそうな点だ。Include・Magic Broadの血を持ち、ナスペリオン血脈を増幅した牡馬は、ヒーズインラブ、ザダル、ドゥラモンド、が活躍している。Includeの血を持つハーツクライ産駒は2頭未勝利ではあるが、2頭とも牝馬で参考外と考えたい。
Danzigの血、堀厩舎、1月生まれのハーツクライ産駒と安心材料も多い。募集価格が高くても一発狙いで期待したくなる。


6.サンブルエミューズの21

募集価格7000万円 牝 木村厩舎 ノーザンF生産
父エピファネイア 母父ダイワメジャー

母父ダイワメジャーは近年のトレンド。父が中長距離戦で活躍した緩い種牡馬との相性が良い。種牡馬エピファネイアではまだモリアーナしか結果が出ていないが、今後活躍馬が多く出てくるだろう。
母サンブルエミューズの産駒はどんな種牡馬を交配しても堅実に走るし、父が中長距離で活躍した緩い種牡馬で結果を残しているだけに堅実に走るのは間違いない。好配合馬とまでは言えないだけに、あとはどれだけの大物になれるか。


7.シャルールの21

募集価格4000万円 牝 菊沢厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父エピファネイア 母父ゼンノロブロイ

父エピファネイア×母父ゼンノロブロイという配合は、Tri Argo≒I Passによって体質を締めることができるため、シーズンズギフト、ヴェローナシチーが活躍している。ヴェローナシチーとはかなり血統構成が似ているだけに本馬も期待したくなるが、正直、配合的に活躍する明確な理由が見出せていない。悩ましい1頭。


8.フィンレイズラッキーチャームの21

募集価格5000万円 牡 国枝厩舎 ノーザンF生産
父キズナ 母父Twirling Candy

母フィンレイズラッキーチャームはマディソンS(米G1・D7.0f)を含めた重賞5勝の実績馬。
Cryptoclearance4×3、Danzig4×4(Northern Dancer5・6・7×5・5、Mr.Propector4・6×5・5)という父母相似配合なため、母の競走能力や傾向が伝わる可能性が高い。繁殖レベルは未知ではあるが、母の競走能力は担保されている点は安心材料。
米国血統のキズナ産駒牡馬であることを考えると、本馬はダート馬に出る可能性が非常に高い。キズナのStorm Catをいじる配合でもあり、ダートでの活躍を期待したい。
キズナ産駒のダート馬で募集価格5000万は割高感が否めないが。


9.ザズーの21

募集価格3600万円 牝 池上和厩舎 ノーザンF生産
父キズナ 母父Tapit

Tapitの血はStorm Catと非常に相性が良く、キズナ産駒の成功配合にあたるStorm Catをいじるパターンにも該当する。Tapitの血を持つキズナ産駒は、1/2頭勝ち上がり、シャムロックヒルが活躍している。また、Gone Westの血を持つキズナ産駒も勝ち上がり率が非常に高い。
ピンパーになりやすい母ザズーの産駒であることから堅実に走る血がある保険は大きい。ヒット~ホームランまで狙える血統。キャロットクラブ募集となった点やノーザンFの意向が非常に引っ掛かるが。


10.ロスヴァイセの21

募集価格3200万円 牝 栗田徹厩舎 ノーザンF生産
父キズナ 母父シンボリクリスエス

ソングラインとは15/16同血と非常に近い血統構成。母父シンボリクリスエスはNorthern Dancerを入れるだけでキズナのStorm Catいじりになるため、相性が非常に良い。
問題はDonatello+Hyperionの血がないこと。特にキズナ×シンボリクリスエスの配合で大成している馬はこの血を持っており、大物感に欠ける点が懸念される。1/16の違いは大きいと思う。


11.アールブリュットの21

募集価格6000万円 牡 国枝厩舎 ノーザンF生産
父ドゥラメンテ 母父Makfi

ドゥラメンテと相性が良い血が満載の好配合馬。Shirley Heights+Sadler’s Wells+Sharpen Upの血を持つドゥラメンテ産駒にはタイトルホルダーがおり、Shirley Heights+Sharpen Upの血だけでもスターズオンアースが活躍している。また、Danzigの血やAmerigoの血などもトニービン持ち種牡馬と相性が良いのも見逃せない。
半兄パラレルビジョンの活躍を見るに繁殖レベルも高そうで、血統・厩舎・生産・繁殖レベルすべてで高評価できる。


12.フロアクラフトの21

募集価格4000万円 牝 宮田厩舎 ノーザンF生産
父ドゥラメンテ 母父フジキセキ

ドゥラメンテと相性の良いSharpen Up+Fairy King(=Sadler’s Wells)の血を持つ点が好感。Northern Dancerが濃かったからか、あまり走らなかったラクスバラディーに対して、本馬は3/4 Northern Dancerの形にしている点も良い。
ただ、母父フジキセキというのがドゥラメンテとの相性がいかにも微妙。リッチダンサーは祖母になると走らないのも微妙。懸念点も多い。


13.マイハッピーフェイスの21

募集価格2400万円 牝 加藤征厩舎 ノーザンF生産
父ドゥラメンテ 母父Tiz Wonderful

母マイハッピーフェイスはCCAオークス(米 G1・D9.0f)2着、フリゼットS(米 G1・D8.0f)2着の実績。
父ドゥラメンテ×米国血統はダートに出る可能性が非常に高い。ダート牝馬というのは残念ではあるが、ヴァレーデラルナ、アーレンダールなどポテンシャルがあれば活躍してもおかしくない。加藤征厩舎というのもイメージしやすく、いかにもルメールJで東京D1600mを主戦場にしていそうだ。
また、ディープ後継種牡馬と相性抜群のTiznow×Storm Catの血を持つため、母馬優先狙いでも期待したくなる。アワブラ入りするほど活躍できるかは繁殖牝馬のポテンシャル次第としか言えないが、この募集価格なら狙ってみても。


14.ブルーメンブラットの21

募集価格5000万円 牡 武井厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父アドマイヤベガ

トニービン+Tom Foolの血をモーリス産駒牡馬は、6/9頭勝ち上がり、1頭当賞金約1700万円になり、メモリーエフェクト、レガトゥスが活躍している。母父キングカメハメハを除いても悪くない成績だ。
全兄ブルメンダールと比べて馬格が全く違う点から、まったく違う結果が出ても不思議ではない。ノーザンFの育成ノウハウに期待してみたいところだが、期待値の低いギャンブルにはなりそう。


15.リカビトスの21

募集価格3200万円 牡 奥村武厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父ディープブリランテ

父モーリス×母父ディープブリランテは、Sadler’s Wells≒Nureyev4×6、Riverman5×5(カーネギー≒Loup Sauvage3×4とも言える)の血を持つ。ディープブリランテ自体が重厚な血統だっただけに、この配合は個人的にはプラスには思えない。
母リカビトスが小柄だっただけに、その初仔であまり馬体が大きく出ていない点も大きなマイナス。


16.シャイントレイルの21

募集価格4000万円 牡 尾関厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父ヴィクトワールピサ

Machiavellianの血を持つモーリス産駒は、2/3頭が勝ち上がり、ディヴィーナ、ハセドンが活躍している。ノーザンF生産の現1歳世代で、この配合パターンが突然増えている点は見逃せない。また、母父ヴィクトワールピサはオニャンコポン、ラブリユアアイズ、アートハウスを輩出する非常に優秀な血統。それだけに、父モーリス×母父ヴィクトワールピサは配合的には大物が出ても不思議ではない血統構成だ。
本馬の配合は、3/4 Northern Dancerの形にもなり、母母父エルコンドルパサーも母系に入っても良さが出る名血。募集価格が高額でギャンブルにはなるが、未知の魅力に期待したくなる1頭。


17.ピュアブリーゼの21

募集価格2400万円 牝 古賀慎厩舎 ノーザンF生産
父モーリス 母父Monsun

この牝系はドイツ血統の影響からか牡馬でないと結果が出ておらず、緩い種牡馬ドゥラメンテのヴィルトブリーゼでも長距離戦でようやく1勝のみ。パワー型のモーリス産駒牝馬では手が出ない。


18.タイムハンドラーの21

募集価格2000万円 牝 栗田徹厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父モーリス 母父ディープブリランテ

本馬は、Sadler’s Wells≒Nureyev4×6、Riverman5×5、サンデーサイレンス4×4、Lyphard5×5・6・7、Roberto5×4、His Majesty=Graustark6×5という強い父母相似配合。
祖母タイムトラベリングはタイムパラドックスの全妹なだけあって、ダート的なパワーを強く伝える。重厚すぎる血統、ダート馬、母が未勝利、初仔で小柄、と課題が山積み。


19.ヴィータアレグリアの21

募集価格3200万円 牡 高柳瑞厩舎 ノーザンF生産
父ニューイヤーズデイ 母父ネオユニヴァース

父ニューイヤーズデイ×母父ネオユニヴァースは、Boulevard5×5のクロスを持つ。Sunny Coveの血をいじるのがネオユニヴァースの狙い方の1つであり、バレークイーン牝系のアンライバルド、Boulevard≒Sans Le Souを持つヴィクトワールピサを輩出したり、Tamerlane≒Sunny Coveになる父ノヴェリストと相性が良かったりする。また、ネオユニヴァース×Machiavellianという配合もヴィクトワールピサ、ロジユニヴァースを輩出しており、狙ってるんじゃないの!?と思える配合パターンだ。
と、父ニューイヤーズデイ×母父ネオユニヴァースについて色々と考察してみたものの、そもそも好配合を目指すのであれば、祖母カクタスペアが持つTerlingua≒Secrettame、Yarn、Numbered Accountの血をいじれやと思ってしまう(苦笑)。
ニューイヤーズデイ産駒の成功配合、母の繁殖レベルなど分からない点が多く、期待値判断が難しい馬ではあるが、配合的にはワンパンチ足りない印象。ダートの方が良く走る高柳瑞厩舎なだけに勝ち上がりのチャンスはありそうかな。


20.チアズメッセージの21

募集価格3000万円 牡 中館厩舎 ノーザンF生産
父ニューイヤーズデイ 母父サンデーサイレンス

セレクトセール1歳2200万円で落札。
祖母チアズダンサーはHyperion5・6×5・5という粘着力が持ち味。ニューイヤーズデイ産駒がどのような傾向になるか分からないが、米国血統によりスピードが補完されて前受けできれば、芝・ダート問わず走ってきそう。ただ、好配合とまでは言えず大物感はないので、どこまで出世できるかが課題。
中館厩舎×ノーザンF関連では、社台オーナー馬ではオールアットワンス、ビジュノワールが活躍しており、ノーザンFの意向としても悪くなさそう。


21.スペクトロライトの21

募集価格2400万円 牝 田中剛厩舎 ノーザンF生産
父ニューイヤーズデイ 母父ディープインパクト

血統評論家の望田氏は、父ニューイヤーズデイは母父ディープインパクトとも相性が良さそうと主張されており、こちらも注目の配合パターン。しかし、この牝系の牝馬はあまり走らない。
厩舎・ノーザンFの意向としても良くなく、結果が出るまでは見送り。


22.アンジュシャルマンの21

募集価格2000万円 牝 伊藤大厩舎 ノーザンF生産
父ニューイヤーズデイ 母父マンハッタンカフェ

配合的に強調材料なく、ノーザンFの意向としても良くない。
走ったらごめんなさい。


23.エスティタートの21

募集価格2000万円 牝 奥村武厩舎 社台コーポレーション白老F生産
父ブリックスアンドモルタル 母父ドリームジャーニー

父ブリックスアンドモルタルはStorm Bird3×3、母エスティタートはエレクトロアート≒Nureyev 3×3を持ち、本馬はStorm Bird≒ノーザンテースト4・4×5・6という父母相似配合。あまり良い配合とは言えない。馬格も小さく、この募集価格でも手が出しづらい。


24.パルティトゥーラの21

募集価格2800万円 牝 和田郎厩舎 ノーザンF生産
父ブリックスアンドモルタル 母父マンハッタンカフェ

祖母フォルテピアノはフレンチデピュティ≒キョウエイフォルテとも言える父母相似配合で、母パルティトゥーラはアウトアウトサイダー血統の強いマンハッタンカフェを交配することで緩和させた好配合馬。本馬はStorm Bird 3×3など濃いクロスを持つブリックスアンドモルタルを父に持ち、3/4 Northern Dancer+緊張→緩和が綺麗な好配合となった。
ブリックスアンドモルタル産駒の成功配合が分からないものの、マンハッタンカフェとRahyの血が相性良いこと、Giant's Causewayがナスキロ・Haloの血と相性が良いことを考えると、プラス要素が多い。未知の魅力に期待してみても。


25.フレジェールの21

募集価格2000万円 牝 堀厩舎 社台F生産

父ブリックスアンドモルタル 母父アグネスタキオン

母フレジェールはロイヤルスキー3×3、Fair Trial+Tuder Minstrelのクロスを持つことから、小脚の効く機動力に富んだ血統構成。母の産駒からフィルストバーン、エバーキュートが活躍しているが、その要因が不明なだけに期待値判断が難しい。ノーザンF関連クラブの社台ファーム生産馬だと、さすがに堀厩舎でもリスク重視になってしまう。敬遠。


つづく